布と一緒に絵が見られる!『藤田嗣治と彼が愛した布たち』福岡市美術館
藤田嗣治(1886-1968)の絵をご覧になったことがある方なら、布地の柄が細かく描かれていることに並々ならぬエネルギーを感じた方もおられるのではないでしょうか。
今回の展覧会は絵に描かれた染織品にスポットを当てて藤田の画業に迫る初の試みだそう。
一体絵でどのくらい柄を再現しているんだろう?と気になって行ってきました。
【福岡市美術館】2020年10月17日(土)〜12月13日(日)
『藤田嗣治と彼が愛した布たち』
会場内の撮影は不可なのでお見せできませんが、絵のすぐ近くに布が展示されていて 「ここの柄がここと同じだ~!」と目をキョロキョロさせて心の中で興奮していました。
布と同じ柄が正確に絵に描かれていることで藤田の人気が高まっていったそう。
写真のような正確さの絵なら藤田でなくとも他に居そうだけど、"藤田の場合は触覚を喚起させるような描写を追求した”(図録『藤田嗣治と彼が愛した布たち』)そう。
《アンナ・ド・ノアイユの肖像》では女性が着ているワンピースの袖とスカート部分にチュールが描かれています。女性は平面的に描かれているのに対してチュールの六角形の小さな網目が延々と続いていくのは目を引きます。近くで見てもごまかしがなく、細かに描かれている!
藤田が収集した布や製作した服や手作りの自分用と妻用のマスクが並んでいました。
当時の妻にあてた手紙に書かれた文字やささっと描かれたようなイラストなども展示されています。写真のサイズが今目にするものよりもとっても小さい(マッチ箱くらい?)のもので、お洒落をした藤田の姿が見られます。
今回珍しいのは藤田の戦争画も展示されていることでしょうか。
私は藤田の戦争画を2018年に東京都美術館で行われた回顧展で初めて見たのですが、等身大の人がそのまま入ってポーズをとっているような大きな絵がいくつもあり迫力がありました。カーキ色や茶色といった重々しい色のイメージの絵で、藤田と言えば乳白色の女性のイメージだったのでこういう絵も描いていたのだなと驚きました。
今回展示されている一枚の絵《神兵の救出到る》は荒々しいものではありません。
蘭領東インド(現インドネシア)を植民地として支配していたオランダ人の邸宅に一人の若い日本兵が足を踏み入れ、後ろ手に鎖で縛られて取り残されている女性を見つける場面を切り取った絵です。
今回の展示を最初から見て行けば戦争画にも藤田が以前描いた服が活かされているのが分かる絵でした。一枚の絵だからこそ解説も多めで、こちらもじっくり読めます。(図録の方はさらに細かく書いてあり、戦争画にしては不思議な絵だなと思われた方は読むといいかも)
福岡市美術館の公式ブログで作品の展示作業や展示風景が見られます。
裏話が好きな方にもおすすめです。
初体験、ZOOMでフランスにフジタ展の展示作業を中継! | 福岡市美術館
常設展の近現代美術室Aでは関連企画として「藤田嗣治と関わった画家たち」の展示が行われています。2020年12月27日まで。
九州派で知った菊畑茂久馬(きくはたもくま)の《春風 五》(2011年)の展示もあります。淡い緑のほわっとした色と四角い形が引き締めている絵で、近現代美術室Cにある《ルーレット》(1964年)という作品と同じ人が描いた作品とは思えない作品です。
そして近現代美術室の出口近くの大きな壁の所にはKYNE《Untitled》2020年
この作品は美術館の外からも見えます。こちらも2020年12月27日まで。
藤田の特別展が終わった後は12月24日から開催のヒグチユウコ展と少し重なります。
久留米市美術館 『没後35年 鴨居玲展 静止した刻』
とうとう明日までとなりました。鴨居玲展。
9月末に行ったもののなかなか書けなくて今になってしまいました。
約100点の作品と資料によって鴨居玲の全貌を紹介する展覧会です。
ちょうど有名な芸能人の自殺のニュースなどがあった時期で鴨居さんも自殺と聞いていたので自暴自棄になっているような怖い絵があったらどうしよう、などと初めて見る方の絵なので恐る恐る会場へ向かいました。そうしたらそんなことはなくて。
若いころから晩年の絶筆まで展示がしてあり、一人の画家とじっくり向き合える展覧会でした。人物が描かれていない背景の空間に切なさや不安が現れていて、大きな絵でも構図の決まり具合が半端ない人だな~と思いました。
特に会場の最後の部屋に展示されている『1982年 私』は180.0×257.8cmの大きなキャンバスに鴨居を含めて15人もの人物たちがそのまま入っているような絵で、まとまり具合に圧倒されます。そして画家の足元の愛犬を見つけてほっとしたり。
鴨居玲というと展覧会のポスターで見た赤い色のイメージが強かったのですが、青色の『教会』の絵もありました。
絶筆の自画像は荒々しくなく、きっと生きていたら別の日に続きを描くのではというそんな感じの絵でした。
【久留米市美術館】2020年9月12日(土)~2020年12月6日(日)『没後35年 鴨居玲展 静止した刻』
『ふくおかの名宝ー城と人とまちー』福岡市博物館で見つける宝物
11月29日までの展覧会に駆け込んで行って参りました。
到着後すぐ博物館のレストランで日替わりランチをもりもり食べて特別展と常設展へ。
特別展では『圧切長谷部』や『日光一文字』『銀箔押一の谷形兜』など黒田家ゆかりの銘品も展示。甲冑や兜がずらりと並ぶ展示風景は迫力がありました。
そんな中でも「おっ!」と思ったものをいくつかご紹介。
(撮影可能な物のみ撮影しております)。
「博多織」はよく目にするのですが、今回初めて「博多絞(はかたしぼり)」を見ました。
特別展を出た後は企画展示室でも気になるものを発見。
福岡市博物館の企画展示室は四室あり、そのうちの一室に展示されていました。
駅弁の上にかけてあるあの紙!掛け紙というんですね。
エキベンラッピングペーパー!なるほど~!
博多弁と福岡弁で「どうぞ早く食べてください」のセリフが分けて書いてあります。
博多弁と北九州弁とかではないのだなぁ。
ディスカバー・ジャパンもこの頃からだったとは。
そして駅弁つながりで、駅で購入できたお茶の入れ物「汽車土瓶」。
こちらは明治の頃にはじまったそう。
某漫画の設定は大正時代らしいので、大ヒット中の映画のあの列車にも汽車土瓶と駅弁を買って乗り込んでいた乗客がいたかもしれない。
昭和初期を代表する博多人形師、白水八郎(しろうずはちろう)の作品。
人形「熊野(ゆや)」
後ろ姿も綺麗で今にもスッと立ち上がりそう。
企画展示室でいつも大人気な日本号。螺鈿細工が美しい。
闘う時にはげたりしないのかは気になるところ。
そして気力を振り絞り、常設展へ。
金印発見のところでパネルに江戸時代の仙厓さんの名前が出てきたので驚きました。
発見者の名前を仙厓さんが掛け軸に書いていたそうで、同じ時代に居たのだなということが分かって嬉しかった。
常設展を観るとどうしても足を止めてしまうのがアジア太平洋博覧会、通称よかトピアが開催されている頃の模型。
シーサイドももちは博覧会開催以前に埋め立てられた地区で開催後に街が開発され、現在の博物館の周りにはデザイナーズマンションや高層ビル、住宅地などが立ち並んでいる。もともとは埋立地だったんだなぁ。
色んな物があるなかで自分の中に新しい発見が生まれるのが博物館の面白いところかも。
特別展のチケットで会期中に限り企画展示室、常設展示室が観られますよ。
都美よりお先に。福岡県立美術館『没後70年 吉田博展』へ。
雨の降る中、福岡県立美術館へ。
アルコールで手指の消毒をし、名前と連絡先を記入していざ展覧会へ。
福岡県の久留米市に生まれ、若いときから洋画の修業をし、たびたび海外にも行き、油彩画や水彩画で頭角を現し、49歳で木版画を始めた吉田博。(1876-1950)
ご存知の方も多いのかもしれませんが……すみません、私は全然知りませんでした。
公式サイトを見ると使っている色の数の多さに驚き、海や山の風景が繊細に表現されていることにまた驚きます。
2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』
浮世絵以降の木版画が見られるチャンスにワクワクして行ったところ、
木版画として妥協しないけれど、売れる木版画を世に出している人だなと思いました。
自分はもちろん、自分以外の人も関心がありそうなテーマで、自分の求める表現を突き詰めて作品をつくり、世に出している。
特定の人物像よりも山や海、川、神社仏閣、日本や海外の街並みなどの風景が多く、博の木版画を購入したい、見てみたいと思わせるテーマが圧倒的に多いのです。
博が生きた時代は明治大正昭和にかけてなので、今のように海外旅行に行く方も少なくインターネットで色んな情報も得られない時代ですから、需要しかないのでは……と思うのですが、ただ作品にするのではなく油彩画・水彩画、西洋画にみられる表現を用いて木版画で表現するという、博がやってきたことを総動員して作品が作られているのがすごいところです。
自分でも彫りや摺りの技術を知り尽くしたうえでや彫師や摺師を指揮したそうで、彫師や摺師の方はやりがいはあっただろうけど大変だったろうな~と思いました。
登山が好きな博の木版画は、山頂や山のふもとなど様々な山の表情を描いていまして、次男に「穂高」という名前をつけたことからも相当な山好きが伺えます。(長男は遠志)。山好きの方には特に見て頂きたい展覧会です。
開催中の風景をテーマにしたコレクション展も見て旅気分を味わってきました。こちらにも吉田博の油彩画があります。木版画の透明感と比べると山の風景もだいぶ変わるのだなぁと感じます。
『風景に遊ぶ』前期:2020年10月3日(土)~11月29日(日) 後期:12月1日(火)~2021年1月17日(日)
どちらも写真が撮れませんが、その分絵とじっくり向き合えたかと思います。
特別展とコレクション展を合わせて、2時間半くらい経っていました。
2階のハイビジョンギャラリーでは吉田博の生涯が分かる10分程度の映像があり、こちらを先に見てから展覧会に行くと分かりやすいかもしれません。
(今回初めて美術館の外壁に柄があることに気がつきました!)
開催期間の変更や休館日、新型コロナウイルス対策に関するお知らせなどもありますのでご来館の前に一度公式サイトや展覧会のツイッターをご覧くださいませ。
*『没後70年 吉田博展』は東京都美術館へ巡回する予定です。
2021年1月26日(火)~3月28日(日)
博多阪急の『Kyushu New Art』と『異彩を放つ九州派~それから~』展へ
今回は時間がないのでツイッターのまとめで失礼します!
博多阪急の催事はどちらも日常の延長に作品を買う選択肢があってもいいんじゃない?という感じで洋服や雑貨コーナーを経て会場に向かうのが新鮮でした。
8階は会場の周りに壁がなく、服を見るような感覚で出入りできるので気軽でした。
会場をぶらぶらしていると関係者の方がいらっしゃったり、若い方が多く見に来ている印象でした。(平日の昼間だったのでそんなに混んでいませんでした)
展示はどちらも2020年10月18日まで!
T・ジョイ博多で鬼滅の刃の劇場版も公開されましたし、映画の行き帰りにぶらっと寄るのも良いかもしれません。屋上も気持ちよかったです。
10月18日までの博多阪急8階のKyushu New Artへ。写真撮影可。
— ヨシト (@y_tabikan) 2020年10月15日
周りに壁がなく、売り場の延長にあるのでふらりと立ち寄れました。
この作品が部屋にあったらどうだろう、お値段は?と見ていたら20分くらい経っていました。
2枚目の写真は田中千智さんの『ホッキョクグマ』 pic.twitter.com/qUVdu6QbRo
そして7階の『異彩を放つ九州派 〜それから〜』へ。バンクシーの絵のグッズや食器などの売り場の奥に何かやってるなと分かりやすい入り口がありました。入場無料。撮影可能。
— ヨシト (@y_tabikan) 2020年10月16日
こちらも意外と広くてじっくり見れました。
"殴り込みをかけるという気概"!
当時の最先端は今もとんがってる気がしました。 pic.twitter.com/WYOoCrgArh
初めてJR博多シティの屋上に上ったら、親子連れで賑わっていました。
— ヨシト (@y_tabikan) 2020年10月16日
列車の出入りが見られる隠れた穴場の列車展望スペースも!
展望テラスは、ぐるりと周囲が見渡せる眺めの良いスポットでした。福岡タワーや博多ポートタワーも見えます。 pic.twitter.com/FgUkanwMAn
福岡県内(福岡市以外)2020年秋開催予定の展覧会まとめ
2020年秋に開催予定の福岡市外の展覧会をコメントと一緒にまとめてみました。
なかなか遠出は難しいかもしれませんが、もしかするとご近所で自分好みの展覧会が見つかるかもしれません。
*開催期間や休館日、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の注意事項などもありますのでお出かけの前には各美術館・博物館の公式サイトや展覧会の公式ツイッターなどをご覧になってから行くことをお勧めいたします。
- 【九州国立博物館】2020年7月28日(火)~12月20日(日)『しきしまの大和へ 奈良大発掘』
- 【北九州市立美術館分館】2020年9月5日(土)~11月29日(日)『ことばとイメージ 巨匠たちと読む物語』
- 【久留米市美術館】2020年9月12日(土)~2020年12月6日(日)『没後35年 鴨居玲展 静止した刻』
- 【芦屋釜の里】2020年9月15日(火)~12月6日(日)『茶の湯釜の美~住友コレクションの名品と復興芦屋釜~』
- 【北九州市立美術館本館】2020年9月19日(土)~11月18日(日)『GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ』
【九州国立博物館】2020年7月28日(火)~12月20日(日)『しきしまの大和へ 奈良大発掘』
九州国立博物館 | 文化交流展示情報 特集展示:しきしまの大和へ~奈良大発掘~
九州国立博物館の4階、文化交流展示室 第2・3室で開催。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館の所蔵品から、特に縄文~中世の出土資料の優品を展示し、外来文化を受け入れながら独自の文化を形成した日本のムラ、都市、国家への歩みを展示。
特別展ではないので展示室は小さめ。ただ、文化交流展示室は11室あるため全部見るとそれなりに時間が経ちます。私がいつも寄るのは第1室の「寄贈者顕彰室」と第10室の「九州陶磁の華ー田中丸コレクションー」。
【北九州市立美術館分館】2020年9月5日(土)~11月29日(日)『ことばとイメージ 巨匠たちと読む物語』
ことばとイメージ 巨匠たちと読む物語 企画展|北九州市立美術館 分館
小倉城からすぐのリバーウォーク北九州5階にある美術館。
お買い物や観光のついでにちょっと息抜き。
聖書や神話を題材にした絵画や詩に添えられた挿絵など。ことばとイメージを探る展覧会。ピカソやルオー、マティスなど美術館のコレクションから展示。会期中展示替えあり。
【久留米市美術館】2020年9月12日(土)~2020年12月6日(日)『没後35年 鴨居玲展 静止した刻』
約100点の作品と資料によって鴨居玲の全貌を紹介する展覧会。
先月行ってみたのですが、若いころから晩年の絶筆まで展示がしてあり、一人の画家とじっくり向き合える展覧会でした。人物が描かれていない背景の空間に切なさや不安が現れていて、構図の決まり具合が半端ない人だな~と思いました。
没後35年 鴨居玲展 静止した刻 | 久留米市美術館 | 石橋文化センター
【芦屋釜の里】2020年9月15日(火)~12月6日(日)『茶の湯釜の美~住友コレクションの名品と復興芦屋釜~』
秋季前期:2020年9月15日(火)~10月25日(日)
秋季後期:2020年10月27日(火)~12月6日(日)
下記の芦屋釜の里公式サイトより引用。
公益財団法人泉屋博古館と芦屋釜の里は、約10年にわたり共同研究や展覧会協力を行ってきました。この度、芦屋釜の里開園25周年を記念し、住友コレクションの茶の湯釜の名品と芦屋釜の里製作の茶の湯釜を展示する特別展を開催いたします。住友家の茶の湯釜コレクションは、ほぼすべてが九州初公開です。
芦屋釜の里開園25周年記念特別展「茶の湯釜の美~住友コレクションの名品と復興芦屋釜~」 - 芦屋町
京都の泉屋博古館所蔵の釜が芦屋町に!
最寄りの駅からバスまたはタクシーで20~30分ほどかかる、交通機関で行くにはちょっと不便な場所にある芦屋町ですが、その分ドライブの目的地にはもってこいの町かなと思います。
航空自衛隊芦屋基地の航空祭や海水浴場、花火大会、砂像展など一度は訪れた方もいらっしゃるかもしれませんね。
芦屋釜の里がある芦屋町はお能の『砧(きぬた)』の舞台でもあり、芦屋釜の里の近くには遠賀川や海、なみかけ大橋、国民宿舎(眺めの良いレストランあり)などもあり、密をさけつつ自然も満喫できるのでお勧めです。
【北九州市立美術館本館】2020年9月19日(土)~11月18日(日)『GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ』
GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ|北九州市立美術館 本館・アネックス
街を見渡せる高台にある美術館。今の季節ならバス停から歩くのも気持ち良いはず。 江戸戯画から近代漫画まで日本の漫画約230年を振り返る展覧会。会期中展示替えあり。
以上2020年秋の展覧会福岡県内(福岡市以外)のまとめでした。
面白そうな展覧会はツイッターでお知らせしたりもしますので、よろしければお気軽にフォロー下さいね。お出かけの参考になれば幸いです。
福岡市博物館『ふくおかの名宝 -城と人とまちー』と同時期開催の展覧会は?
- 西新駅【福岡市博物館】2020年10月10日(土)~11月29日(日)
- 中洲川端駅【福岡アジア美術館】 2020年9月12日(土)~10月18日(日)『原田治展「かわいい」の発見 Osam Harada:Finding "KAWAII"』
- 天神駅【三菱地所アルティアム】2020年10月3日(土)~11月1日(日)jikijiki展 料理家 広沢京子 食のつながり▷食のひらめき
- 天神駅【福岡県立美術館】2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』
- 大濠公園駅【福岡市美術館】2020年10月17日(土)〜12月13日(日)『藤田嗣治と彼が愛した布たち』
2020年10月18日に30周年を迎える福岡市博物館。名物「圧切長谷部」(国宝)と太刀 名物「日光一文字」(国宝)も2口揃いで展示されるこの機会に博物館へ足を運ぶ方も多いのではないでしょうか?
福岡市博物館から地下鉄空港線一本で行ける福岡市内の美術館をまとめてみましたので、博物館の帰りにどこか行くところに迷ったら行くのも良いかもしれません。
西新駅【福岡市博物館】
2020年10月10日(土)~11月29日(日)
中洲川端駅【福岡アジア美術館】 2020年9月12日(土)~10月18日(日)『原田治展「かわいい」の発見 Osam Harada:Finding "KAWAII"』
描いた方の名前を知らなくてもドーナツやポテトチップスなど、ものを見たら「あ、見たことある!」と瞬時に名前と絵が繋がるはず。しかし、ドーナツやポテトチップス以外のお仕事はあまり知らないし、私が子供のころから見かけるのでいつから活躍されてるのか謎の人という一面も。作品やグッズと共に時代を振り返れそうな展覧会。
天神駅【三菱地所アルティアム】2020年10月3日(土)~11月1日(日)jikijiki展 料理家 広沢京子 食のつながり▷食のひらめき
2020年11月7日(土)~12月13日(日)高木正勝個展 星の時間
無知なワタクシ、どちらの方のお名前も知らず。しかし、知らないからこそ全部楽しめそうでもあります。イムズ8階にあるため、レストラン街や九州ゆかりの作家さんたちの雑貨のお店などもふらっと立ち寄れます。
天神駅【福岡県立美術館】2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』
福岡県の久留米市に生まれ、若いときから洋画の修業をし、たびたび海外にも行き、油絵や水彩画で頭角を現し、49歳で木版画を始めた吉田博。
……すみません、全然知りませんでした。
サイトを見ると使っている色の数の多さに驚き、海外や山の風景が繊細に表現されていることに驚きます。
浮世絵以降の木版画が見られるチャンスにワクワクしています。
*東京都美術館へ巡回します。2021年1月26日(火)~3月28日(日)
関東の方はさきがけて見られますね。
開催中の風景をテーマにしたコレクション展も面白そうです。旅気分が味わえそう。
『風景に遊ぶ』前期:2020年10月3日(土)~11月29日(日) 後期:12月1日(火)~2021年1月17日(日)
大濠公園駅【福岡市美術館】2020年10月17日(土)〜12月13日(日)『藤田嗣治と彼が愛した布たち』
藤田嗣治の絵をご覧になったことがある方なら、布地の柄が細かく描かれていることに並々ならぬエネルギーを感じた方もおられるのではないでしょうか。
今回の展覧会は絵に描かれた染織品にスポットを当てて藤田の画業に迫る初の試みだそう。藤田が収集した布や製作した服や小物の展示もあります。絵でどのくらい柄を再現しているんだろう?と今から気になっています。
以上、独断と偏見によるお勧めでした。
開催期間の変更や休館日、新型コロナウイルス対策に関するお知らせなどもありますのでご来館の前に一度公式サイトや展覧会のツイッターをご覧くださいませ。
楽しい息抜きができますように~!
*地下鉄はこちらの過去記事に詳しく載せています。
福岡市内で2020年秋に開催される展覧会は?
- 【福岡アジア美術館】 2020年9月12日(土)~10月18日(日)『原田治展「かわいい」の発見 Osam Harada:Finding "KAWAII"』
- 【三菱地所アルティアム】2020年10月3日(土)~11月1日(日)jikijiki展 料理家 広沢京子 食のつながり▷食のひらめき
- 【福岡市博物館】2020年10月10日(土)~11月29日(日)『ふくおかの名宝 ー城と人とまちー』
- 【福岡県立美術館】2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』
- 【福岡市美術館】2020年10月17日(土)〜12月13日(日)『藤田嗣治と彼が愛した布たち』
だいぶ涼しくなってきましたね。
秋は展覧会が盛り上がる季節。新型コロナウイルスへの感染は気になるけれど、
春に比べるとマスクの着用や検温、消毒などの徹底で開催される展覧会も増えてきたのでそろそろ行ってみようかな、と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
どんな展覧会が行われているのか知るだけでも楽しいと思いますので、ちょいちょいコメントをいれつつ紹介してみたいと思います。
【福岡アジア美術館】 2020年9月12日(土)~10月18日(日)『原田治展「かわいい」の発見 Osam Harada:Finding "KAWAII"』
描いた方の名前を知らなくてもドーナツやポテトチップスなど、ものを見たら「あ、見たことある!」と瞬時に名前と絵が繋がるはず。しかし、ドーナツやポテトチップス以外のお仕事はあまり知らないし、私が子供のころから見かけるのでいつから活躍されてるのか謎の人という一面も。作品やグッズと共に時代を振り返れそうな展覧会。
【三菱地所アルティアム】2020年10月3日(土)~11月1日(日)jikijiki展 料理家 広沢京子 食のつながり▷食のひらめき
2020年11月7日(土)~12月13日(日)高木正勝個展 星の時間
2020年12月19日(土) − 2021年1月31日(日) 編みものけものみち 三國万里子展
秋から冬にかけて様々なテーマが目白押しのアルティアムの中でも気になるのがニットデザイナーの三國万里子さんの展覧会。「ほぼ日刊イトイ新聞」やNHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」などでお名前を知っている方も多いかもしれません。かく言う私もその一人です。編みもののワークショップなどの予約の抽選もあるそうですので気になる方はお早めに。
【福岡市博物館】
2020年10月10日(土)~11月29日(日)『ふくおかの名宝 ー城と人とまちー』
2020年10月18日に30周年を迎える福岡市博物館。名物「圧切長谷部」(国宝)と太刀 名物「日光一文字」(国宝)も2口揃いで展示されるこの機会に博物館へ足を運ぶのも良いかもしれません。
【福岡県立美術館】2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』
福岡県の久留米市に生まれ、若いときから洋画の修業をし、たびたび海外にも行き、油絵や水彩画で頭角を現し、49歳で木版画を始めた吉田博。
……すみません、全然知りませんでした。
サイトを見ると使っている色の数の多さに驚き、海外や山の風景が繊細に表現されていることに驚きます。
浮世絵以降の木版画が見られるチャンスにワクワクしています。
開催中の風景をテーマにしたコレクション展も面白そうです。旅気分が味わえそう。
『風景に遊ぶ』前期:2020年10月3日(土)~11月29日(日) 後期:12月1日(火)~2021年1月17日(日)
【福岡市美術館】2020年10月17日(土)〜12月13日(日)『藤田嗣治と彼が愛した布たち』
藤田嗣治の絵をご覧になったことがある方なら、布地の柄が細かく描かれていることに並々ならぬエネルギーを感じた方もおられるのではないでしょうか。
今回の展覧会は絵に描かれた染織品にスポットを当てて藤田の画業に迫る初の試みだそう。藤田が収集した布や製作した服や小物の展示もあります。絵でどのくらい柄を再現しているんだろう?と今から気になっています。
そして年末には
『ヒグチユウコ展 CIRCUS』2020年12月24日(木)〜2021年2月7日(日)
関東の方で観られなかった方にもチャンスがありますね。
以上、独断と偏見によるお勧めでした。
開催期間の変更や休館日、新型コロナウイルス対策に関するお知らせなどもありますのでご来館の前に一度公式サイトや展覧会のツイッターをご覧くださいませ。
『最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』三菱地所アルティアム
最果さんの名前をネット上で知っていたものの詩を読んだことがなく、関東の方で行われた展覧会の画像を見ていたのでどんなものだろうかと気になって行ってきました。
地下2階のイムズプラザをメインに、レストランフロアなどにも詩が点在していました。エスカレーターに乗って下を見ていたら詩が目の前をスルスルと流れて行くという初めての体験もできました。自分のペースじゃないペースで読む詩はちょっと新鮮です。
イムズプラザの展示はパッと見、コピーのように見えるけど詩の展示。クリスマスやバレンタインはこういうオブジェがあるよな~と違和感がなく自然に見えるけど、コピーのように見た人の商品の購入意欲を盛り上げよう!みたいな役割を持つ言葉ではない。詩がいつもの日常にするりと入り込んでいて不思議。
そして会場へ。
丸い輪っかの内側に立って読む詩は、どこが始まりか分からぬまま読み始めてぐるりと一周、二周しました。かくかくしている方もどこから読むのか人によって違います。読んでいる人の動きが面白い詩。
続く部屋には空調で揺れるたくさんの詩のモビール。ネットで見たのもこんな感じでした。
一つ一つの飾りに書かれた一節は小説から抜き出してきたような文章で「詩と小説の違いって何だろう?」「詩って何だろう?」という気持ちでいっぱいに。
たくさん読めば何か分かるのではないかと始まりも終わりも分からない言葉の間に入っていってぶつからないようにゆっくり動きます。
全部見えているはずなのに目に入ってくる詩は自分が日頃気にしていることのように思えてちょっと怖くなりました。
明るい詩を探さねばと躍起になるものの、風でクルクルとひるがえる詩を見ていたら、だんだん明るいのも暗いのも同じくらい日常にあったりするもののように思えてきたり。
詩は私とは無関係にそこに存在しているけど、私の感情フィルターを通して見ると意味を持つ、みたいな。詩を選ぼうとしている自分がいる。
別の日に見てみたらまた違う詩の風景が現れるのかもしれません。
目的の物を買ったらすぐに帰る。寄り道は好ましくないもの。
コロナ禍で染みついた自分なりの行動規範があります。
美術館やギャラリーで展示を観るのは今の自分にとってとても贅沢な時間の使い方であり、心のどこかに罪悪感を感じるものでもあります。
自分の中にはない何か分からないものを理解したいと思いながらじっと見る。
何かに効くとかそんなことはないかもしれないけれど、こういう時間は必要だなと思ったらぽろっと涙がこぼれました。
そして詩のことが分からなすぎでミュージアムショップで公式ガイドブックを買い、読んでみて、ますます分からないのでもっと詩が読みたくなりました。
アートもこれが一番美しいというものがないように詩の世界もこれが詩だという正解がないのかもしれません。
イムズプラザなど詩のインスタレーション作品は2020年8月30日まで!
三菱地所アルティアムでの展示は2020年9月27日まで。
気になる画家が見つかるかも?『ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華』九州国立博物館
2月下旬の土曜の夕方、夜間開館の日に『フランス絵画の精華』展に行ってきました。なかなか17時過ぎに行くことがなく、空いているだろうと思ったら意外と人が多くて驚きました。自分と同じようにコロナウイルスの影響で人が少ない時間帯に行こうと思った人が多いのかなとも思いましたが、土曜の夜なので普段から展覧会を観た後に皆で夕飯に行く方も多いのかもしれません。
3月5日現在、九州国立博物館は3月16日(月)まで臨時休館となっていますので、行かれる方は公式サイトの最新情報を見てから展覧会に行くのが良さそうです。
それでは通常通りの開館に備えて、今回の展覧会はどんなものか公式の動画を見てみましょう~!
展覧会のチラシより引用
”17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、印象派誕生前夜にいたるまでの壮大なフランス絵画の流れを69点の油彩画、17点の素描によってたどります。本展は、フランスの美術史家の故ルネ・ユイグ氏へのオマージュをこめて開催いたします。”
今回は46名もの画家の作品が展示されている展覧会なので、フランス絵画の流れを感じながら自分にピンとくる絵や画家と出会えたらラッキー!くらいな気持ちで見ると身構えなくて良さそうです。
最近買った秋田麻早子著『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』をちょうど読んでいたので絵を見る技術を試したい気まんまんな私。さすがに全部は集中して見ることはできませんでしたが最初の方に飾られている古典主義の作品は本に書いてあるようなことが絵から読み取れてとても面白かったです。明暗の差があるところや、リーディングライン(重要な箇所に向けて目を誘導する線)はどこにあるんだろう、誰が主役なんだろうとか、にわか探偵気分で絵を見てみました。
こちらのプッサンの絵を見ると、左の人物が明るく、人物の視線や身振り手振りで見ている人の目線が左の人物に行くようにちゃんと考えられて描かれているんだなというのが分かります。 右の中心人物にも目線が行くよう中央の屈んでいる人たちの視線が彼に集められているのも分かりますね。話自体も分かるとさらに絵が味わえそうですが、絵の中の技術が分かるだけでもいつもよりちょっと楽しくなります。
私はいつも展覧会を観る際に3点持って帰るとしたら何の絵が良いかと考えるので3点選んでみたいと思います。まずは青と黄色が印象的な絵。
2枚目に持って帰るなら、右の大きな絵、ユベール・ロベール『スフィンクス橋の眺め』(1767)でしょうか。廃墟をテーマに描いた絵で、大きな橋の下から見える風景や人々の暮らしぶりが見ていてワクワクします。物語が詰まっていそうです。
大きな画像と解説はこの絵を所蔵している東京富士美術館のサイトで見れます。
そして3枚目は右から2番目の白い服を着た女性の絵。
フランソワ=アンリ・ミュラール《女の肖像》(1810)
ショールの布の質感や色の鮮やかさが白いドレスに映えている作品でした。
こちらも東京富士美術館から借りて展示されているので、サイトに大きな画像と解説があります↓ www.fujibi.or.jp
臨時休館が終わるころには寒さも和らいでくるでしょうから、春のお散歩がてら太宰府に行くのもいいかもしれません。ご覧になった方が気になる画家に出会えますように。
こちらの記事は九州国立博物館のぶろぐるぽに参加しています。写真はぶろぐるぽに参加すると提供されるため、ブログを持っている方はぜひ展覧会の感想などを書いてみるといいかも。(展覧会のチケットが当たったりしますよ!)
この展覧会の絵が載っているわけではありませんが、
読んで行くと絵を見るのが楽しくなるかもしれません。