ヨシトのたびかん

主に福岡。ときどき県外の美術館までの小さな旅や展覧会の感想など

都美よりお先に。福岡県立美術館『没後70年 吉田博展』へ。

雨の降る中、福岡県立美術館へ。
アルコールで手指の消毒をし、名前と連絡先を記入していざ展覧会へ。

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福岡県の久留米市に生まれ、若いときから洋画の修業をし、たびたび海外にも行き、油彩画や水彩画で頭角を現し、49歳で木版画を始めた吉田博。(1876-1950)
ご存知の方も多いのかもしれませんが……すみません、私は全然知りませんでした。

公式サイトを見ると使っている色の数の多さに驚き、海や山の風景が繊細に表現されていることにまた驚きます。

2020年10月16日(金)~12月13日(日)『没後70年 吉田博展』

fukuoka-kenbi.jp

 

浮世絵以降の木版画が見られるチャンスにワクワクして行ったところ、
木版画として妥協しないけれど、売れる木版画を世に出している人だなと思いました。

自分はもちろん、自分以外の人も関心がありそうなテーマで、自分の求める表現を突き詰めて作品をつくり、世に出している。
特定の人物像よりも山や海、川、神社仏閣、日本や海外の街並みなどの風景が多く、博の木版画を購入したい、見てみたいと思わせるテーマが圧倒的に多いのです。

博が生きた時代は明治大正昭和にかけてなので、今のように海外旅行に行く方も少なくインターネットで色んな情報も得られない時代ですから、需要しかないのでは……と思うのですが、ただ作品にするのではなく油彩画・水彩画、西洋画にみられる表現を用いて木版画で表現するという、博がやってきたことを総動員して作品が作られているのがすごいところです。

自分でも彫りや摺りの技術を知り尽くしたうえでや彫師や摺師を指揮したそうで、彫師や摺師の方はやりがいはあっただろうけど大変だったろうな~と思いました。

 

登山が好きな博の木版画は、山頂や山のふもとなど様々な山の表情を描いていまして、次男に「穂高」という名前をつけたことからも相当な山好きが伺えます。(長男は遠志)。山好きの方には特に見て頂きたい展覧会です。

 

開催中の風景をテーマにしたコレクション展も見て旅気分を味わってきました。こちらにも吉田博の油彩画があります。木版画の透明感と比べると山の風景もだいぶ変わるのだなぁと感じます。

『風景に遊ぶ』前期:2020年10月3日(土)~11月29日(日) 後期:12月1日(火)~2021年1月17日(日)

fukuoka-kenbi.jp

 

どちらも写真が撮れませんが、その分絵とじっくり向き合えたかと思います。
特別展とコレクション展を合わせて、2時間半くらい経っていました。
2階のハイビジョンギャラリーでは吉田博の生涯が分かる10分程度の映像があり、こちらを先に見てから展覧会に行くと分かりやすいかもしれません。

 

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(今回初めて美術館の外壁に柄があることに気がつきました!)


開催期間の変更や休館日、新型コロナウイルス対策に関するお知らせなどもありますのでご来館の前に一度公式サイトや展覧会のツイッターをご覧くださいませ。

*『没後70年 吉田博展』は東京都美術館へ巡回する予定です。
2021年1月26日(火)~3月28日(日)