ヨシトのたびかん

主に福岡。ときどき県外の美術館までの小さな旅や展覧会の感想など

初めて見たぞ。久留米市美術館『没後70年 南薫造』展へ。

7月に久留米市美術館の南薫造展に行って参りました。(2021/8/29に会期終了)
展示品の撮影は不可なので看板から雰囲気を感じて頂ければ幸いです。

初期から晩年までを順に見られるので初めて見る画家でもじっくり知ることができました。 以前久留米市美術館で行われた展覧会で知った、白馬会や岡田三郎助の名前がまた出てきて、繋がりを感じておおっと思いました。

若い頃に留学し油彩も水彩も版画もやって従軍中に絵を描く流れは木版画で有名な吉田博とも似ています。
博の方が1876年生まれで薫造は83年生まれだけど二人とも同じ1950年に亡くなっている点も同じです。お互いの作品を見たりしていたのかまでは分かりませんが想像が膨らみます。

南薫造の絵は水彩も油彩も色づかいが綺麗で人物や風景など、身近なものが描かれているので、自分もやりたくなってミュージアムショップで水彩画の技法書を買ってしまいました。

公式サイトの方でも南薫造の絵が見られます。

没後70年 南薫造 | 久留米市美術館 | 石橋文化センター

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素敵なインテリアに囲まれたい『ザ・フィンランドデザイン展』北九州市立美術館本館

『ザ・フィンランドデザイン展』は戸畑区にある北九州市立美術館本館で2021年8月29日(日)まで開催中です。※常設展と石井さんの展示は8/31まで中止(8/15時点)
(緊急事態宣言などで変更があるかもしれませんので、美術館にお越しの際は公式サイトや展覧会の公式ツイッターを事前に確認するのをお勧めします)。

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もし全て撮影可だったら、見終わるまでに倍くらい時間がかかかったはず!というくらいお洒落で可愛い、カッコイイものがたくさんの展覧会でした。
ポスターやガラス製品、陶板、布地、洋服、じゅうたんなど、暮らしに加えたいものがたくさんあります。
昨年見たルート・ブリュックの作品もいくつかありました。

岐阜県現代陶芸美術館の『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』展へ - ヨシトのたびかん

 

図録にもトリミングされたアーティストの顔写真が小さく載っているのですが、会場では大きなパネルで人物の背景に映っている道具などまで観られるのでお勧めです。
会場内の廊下の布のみ撮影可能です。

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 北九州市立美術館本館の「ザ・フィンランドデザイン」展のあとは同館の常設展と常設展示の一角のスペースの石井勢津子さんの「ホログラフィー・アート 草原から海へ」へ。 

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写真だと分からないけれど画像が前に飛び出してきて見えます。
来年の夏にこの館で開催予定の石井さんの個展も楽しみです。
※常設展と石井さんの展示は8/31まで中止(8/15時点)

石井さんの展示は常設展(コレクション展)の一室の一作品だけで、こういう予告コーナー的な展示の仕方を初めて見ました。 会場で頂いた冊子(ホログラフィーの画像を印刷してある遊び紙つき。手が込んでる!)によると、ホログラフィ技術の誕生は約70年前というから驚きです。現在はホログラムを制作するための設備や材料が揃わなくなってきているそうで、ますます来年見ておかねばと思いました。


kmma.jp

 

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三菱地所アルティアム最後の展覧会『絶望を覆すことができない恋を正義とせよ、きみが、死んでも残る花。』

イムズにある三菱地所アルティアム最後の展覧会、ということで8月の上旬に行って参りました。

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ポスターは真ん中の空白がイムズ(Inter Media Station)の吹き抜けを表しているようなデザイン。吹き抜けを囲むように配置されたお店は文字となってぐるりと空白を囲み、金色の有田焼のタイルでできた外壁は無数の点で表されてる、という感じでしょうか。

 

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アルティアムの近くのエスカレーターの近くに新聞と同じくらいの大きさの、厚みのある紙でできた冊子が置かれていたので持ち帰って読みました。イムズに出店されているお店の社長さんだったり、イムズホールやアルティアムにゆかりのあるアーティストの記事が載っています。

イムズの公式サイトで内容を見ることもできます。

https://ims-tenjin.jp/special/imspaper/

 

なんかいいなぁと思ったので挨拶文を撮影。作品は一部を除き撮影可能です。

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鹿児島睦「鳥」一部

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最果タヒ「絶滅」
頭の中で声に出し、映像を想像しながら詩を読んでみる。イムズやアルティアムがなくなっても、心に残ったものは消えないよ。

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潘 逸舟「Where are you now」
部屋にドーン!と消波ブロックのような作品があります。陸なのにいきなり海に来た感じがします。

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浅井裕介「Following the last breath」

展示の際の壁の穴や床の傷をもとにしている作品。作品がある時は床も壁も脇役だったけど、最後に主役になったのだなぁ。

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飾られている絵はイムズの外壁のタイルに描かれているそう。こんなにキラキラしたタイルだったのか~!(塗ってあるのかな?)

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塩田千春「大陸を越えて」

 部屋に入った瞬間ギョッとするけど、一足一足にまつわるメッセージを読むとほっこりするものもあります。誰も居ないのに誰かの人生を感じる空間。

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津田直「やがて、鹿は人となる/やがて、人は鹿となる」一部

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吹き抜けを眺めながら移動するエレベーターもイムズっぽさを感じるものでした。
イムズもアルティアムも、今まで色んな出会いをありがとうございます。

閉館の8月31日まで残りわずか。31日は混み合う可能性が高いのでお早めに。

 

*休館や時短などがあるかもしれませんので、行く前に確認してから行くと良いかと思います。

アルティアムの公式サイトはこちらから→http://artium.jp/

 

 

動くストランドビーストも! 『テオ・ヤンセン展』熊本市現代美術館

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青空と海を背景に砂浜を駆ける「ストランド(砂浜)ビースト(生命体)」。

オランダのアーティスト、テオ・ヤンセンが故国の海面上昇問題を解決するために生み出したストランドビーストは風を動力源として生き物のように活き活きと動きます。

ボディ全体は黄色いプラスチックチューブで出来ており、この色がなんとも骨っぽい。たくさんの脚は虫のようでもあり、ヤンセンさんと共に砂浜を走っている姿は、怪獣を従えた博士のようで、写真を見るだけでワクワクしてきます。

数年前に別の場所で開催された展示の時は動いているものは見られなかったのですが、今回の熊本市現代美術館の展示では時間帯により、動いているストランドビーストが見られるとあって蔓延防止等重点措置が解除されてから行ってみました。

 

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この展覧会、嬉しいことに写真撮影可能です。
ストランドビーストは作者亡き後も自立して砂浜で生き延びることを目指しているので、こうやって写真が広まることで関心を持ってもらうのも生存戦略の一部なのです。
まんまと引っかかってしまいました。

 

 決まった時間に動くのは3種類のビースト。平日10時30分の回で動いたのはこちらのアニマリス・オムニア・セグンダ。解説を聞きながら、動くビーストを観ます。

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長さ10メートル、幅4メートル、高さ2.5メートルの大きなストランド・ビーストです。制作年は2018年。右の方に見えるペットボトルは風を貯めておく胃袋の役割をします。風がないときはそれで動くそう。

 

 平日11時半の回で動いたのはこちらのアニマリス・プラウデンス・ヴェーラ。制作年は2013年。長さ10メートル×幅6メートル、高さ4メートルでこちらも大きい。

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 最前線で見ていると近寄ってきた時に思わず後ずさりしてしまうほど。迫力があります。

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そしてヴェーラの後に同じく11時半の回のアニマリス・アデュラリ。2012年制。それぞれ、長さ5メートル、幅2メートル、高さ1.5メートル。一番親近感が湧くサイズの2体。顔のように見える△の尻尾を振ります。意外と素早く動きます。

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そして、触って押せちゃうビーストのアニマリス・オルディス。2006年制。長さ4メートル、幅2メートル、高さ2メートル。係りの方の案内でカーペットの上を押して前へ進み、後ろへ下がる体験ができます。
平日は混んでなかったのですぐ体験することができました。スーパーにあるカートよりは動かしにくいものの、たいした力をこめなくても動かすことができます。

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この展覧会では全部で12作品のストランドビーストを見ることができます。
大きな作品の展示なのでのんびりみても1時間くらいでしょうか。

私は平日の10時に入場し10時半の回のリ・アニメーション(動くストランドビースト)を見たあと残りの展示を観て、それでも時間が余ったので係りの人に出ても良いか伺って、一旦出てミュージアムショップで図録を買い、他の展示を観たあと、10分前に半券で再入場して11時半の回を観ました。

そんなに長く滞在できないよ!という方やご近所の方には夕方17時からの回がお勧め。3体が順に動くので効率よく観られます。

 

土日祝日やお盆の期間は予約制となっているので、公式サイトや公式ツイッターを確認してから行くとスムーズです。

テオ・ヤンセン展 | 熊本市現代美術館 CAMK

 

[体験]リ・アニメーション タイムスケジュール | 展覧会関連イベント | 熊本市現代美術館 CAMK

 

九州国立博物館『よみがえる正倉院宝物 ー再現模造にみる天平の技ー』

先週、小雨降る太宰府天満宮へ行って参りました。

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花菖蒲は満開、あじさいが見頃でした。天満宮の手水舎では「花手水」も見られました。

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九州国立博物館の『よみがえる正倉院宝物 再現模造にみる天平の技』展へ。
出品作品はすべて再現された模造品だそう。

外見だけを似せるのではなく、当時と同じ材料や技法、構造の忠実な再現を目指しています。当時はあったけど今はない材料や道具を名工たちが試行錯誤しながら作る過程が映像で見られるコーナーもありました。

パンフレットにも大きく載っている螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)は明治の物と平成の物が並んで展示されています。平成に製作された琵琶は弾くと音が鳴り、会場では録音された琵琶の演奏を聴くことができます。

私のお勧めは稲垣蘭圃の「正倉院御物修理実況図」という修理の様子を描いたもの。
よくよく見ると茶目っ気たっぷりなので、会場に行ったらじーっと見て笑ってほしいなぁと思います。
自分の作業に熱中して人の桶を倒したり、顔の長い人の帽子が高さのある帽子になっていたり、一人一人の顔が違って面白いです。

2021年6/13日迄。

九州国立博物館 | 特別展:「よみがえる正倉院宝物 - 再現模造にみる天平の技 - 」

 

4階の文化交流展示室では葛飾北斎の「日新除魔図」がお勧めです。写真撮影も可能。

北斎が83歳から84歳にかけて毎日描いた獅子図や獅子舞人物図。日めくりのカレンダーのように毎日違う絵を見ることができます。(似てる構図があったり、飛ばしている日もあったりします)。
行った日付の「日新除魔図」が観られるとちょっと嬉しいので、毎回寄贈者顕彰室を覗いてしまいます。(縄文のコーナーのすぐ近くの第1室という部屋にあります)

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照明も見どころ。九州国立博物館『奈良・中宮寺の国宝』展へ

先週、九州国立博物館の『奈良 中宮寺の国宝』展へ行ってきました。
入館には日時指定チケット(事前予約)が推奨されています。
スマートフォンでチケットを購入して行ったので受付はスムーズでした。


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メインの菩薩半跏思惟像は一番最後に展示されており、像の周りをぐるりと一周できます。
こちらの像がある展示室内は照明が工夫されていて、壁に障子がはめ込まれているように見えます。
それが部屋をぐるっと取り囲むため、部屋全体を光に包むことができ、像の影になる部分が少なくどこから見ても見やすく感じました。
明るいけれど眩しくない、障子越しの光のようで穏やかな気持ちで像を眺めることができたのが嬉しかったです。
ちなみにこの照明はアイリスオーヤマが協力しているそうです。

国宝の菩薩半跏思惟像の展示室の先の部屋では中宮寺や像についての映像が流れています。
元々彩色されていてこんな風だったよ、飾りも付いてたから跡があるよ、というのを見たらまた見たくなって像の部屋に戻って見ました。
同じような方もいらっしゃって、そうなるよね~とニヤリとしました。
自分で好きなように見た後に解説を受けてじっくり見ると先ほど気づかなかったところが見えてくるのが面白いところです。

そして、国宝の菩薩半跏思惟像にたどり着く前にガンダーラ、中国、朝鮮半島、日本の半跏思惟像が一堂に展示されているのもこちらの展覧会の魅力です。
四角い箱のようなものに腰掛けている像もあれば、クグロフのような台座のパターンも。(こちらが多い気が)。
衣紋が綺麗に見えるのと土台が台形だと全体が落ち着くからでしょうか。

お堂では半跏思惟像を正面からしか見ることができません。
今回は側面や後ろ姿が見られるチャンスですので機会があればお勧めしたい展覧会です。

 

九州国立博物館 | 特別展:「奈良 中宮寺の国宝」

 

会場内撮影不可のため描いてみました。

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遠出した気分になるかも?久留米市美術館『生誕130周年記念 髙島野十郎展』

緊急事態宣言が明けたらと思っていましたが、延長されてしまったのでこのまま行けなくなったら後悔するなぁと思い、平日に行ってきました。

1890(明治23)年、久留米市生まれの画家、髙島野十郎展。

入館時に検温、アルコール消毒、名前と住所の記入を求められます。展示されている作品の撮影はできませんのでこちらの看板をば。「野十郎と言えばコレ!」という作品が並んでいます。

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13時過ぎごろで、最初の部屋は平日の割に多いなと感じたものの、2つ目、3つ目と展示室を移動するにしたがって人はまばらになり、ゆっくりと観ることができました。

今回の展示の構成は青年期、欧州滞在期間の滞欧期、戦前期、戦後期、光と闇の全部で5章。

久留米を出て東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業し画家の道へ進む野十郎。
ヨーロッパに滞在して絵を描き、戦時中は福岡に戻り絵を描き、戦後は関東の方で絵を描き、という生涯ずっと絵を描いていたのが分かる流れになっていました。

 

青年期には岸田劉生っぽい重く暗い色調の自画像もあれば、ゴッホっぽいタッチの絵もあったり。

青年期から晩年までずっと登場するりんごに注目するのも楽しいかもしれません。
スーパーで買えるようなりんごとは違って一回り小さくて形もどこかいびつで、傷がある方を見せるように描いてある作品もあり、何か思い入れがあったのかなぁと考えてしまいます。
果物や花と共に、同じお皿や壺が描かれているのを見つけて嬉しくなったりも。

初めて見た気がするのですが個人蔵の『晴と曇』という、晴れた山並みと曇りの日の山並みの風景を左右に分けて描いた作品がありました。山にある家の台所に立って小さな窓から外を見ているような気分になる作品です。よく見ると山並みの形が違うので天気が違うだけでなく、場所自体も違うのかもしれません。

屋内だけでなく外の風景や自然の作品が多いので、絵の中で遠出したような気分が味わえるような展覧会でした。

 

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久留米市美術館 『生誕130周年記念 髙島野十郎展』
2021年1月20日(水)~4月4日(日)まで。

新型コロナウイルス感染症の関係で会期が変更になる可能性もありますので、ご来館の際は公式サイトや公式ツイッターをご覧になってからのお出かけをお勧めします。 

生誕130年記念 髙島野十郎展 | 久留米市美術館 | 石橋文化センター

『三國万里子展 編みものけものみち』三菱地所アルティアム

ほぼ日刊イトイ新聞NHKのテレビ番組『世界はほしいモノにあふれてる』などでご存知の方も多いはず、三國万里子さんの展覧会が福岡県の天神、イムズ8階三菱地所アルティアムで開催中です。2021年1月31日(日)まで。

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三國さんが持ってらっしゃる海外の編み物の雑誌なども展示。 

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作品などは普段展示ケースに入れてあるのが普通ですが、床に服が置かれているのが新鮮でした。
並べ方も可愛いくて、あっちこっち写真を撮りたくなります。(会場内撮影可能) 

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箱自体も可愛いくて撮ってしまいました。

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三國さんが愛用しているアクセサリー。

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色が鮮やかでニットのぬくもりをガラス越しではない空間で見ることができて、ほっこり。編めなくてもワクワクして楽しくて、自分で何か作るのって良いなと思える展覧会でした。
ミュージアムショップでは三國さんの本や毛糸の帽子などのキットの販売も有りました。(12月時点)

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三國万里子展 | 三菱地所アルティアム

 

次回は東京に巡回予定だそうです。
入場者数の制限や整理券の配布などもあるようですので、お出かけ前にほぼ日の公式ツイッターをチェック!

ほぼ日曜日(渋谷パルコ8F)2021年2月7日(日)~2月28日(日)

ほぼ日曜日 - ほぼ日刊イトイ新聞

福岡市美術館『ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画』

戦前の福岡で結成された前衛美術グループ「ソシエテ・イルフ」。
一体どういうグループなんだろう?とチラシを見た時から気になっていて1月の上旬に行って参りました。

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特別展のヒグチユウコ展と向かいの、コレクション展示室の近現代美術室Bで2021年3月21日まで開催中で、観覧料は一般200円。こちらの料金で2階の近現代美術室A,B,Cと1階のコレクション展示室古美術が観られるのでとってもお得です。
そして特別展に比べると人が少ないのでソーシャルディスタンスを保ちながらゆっくり観られるのも良いところです。

1930年代半ばに集結し「古い」の逆さ読みから「ソシエテ・イルフ」を名乗るようになったメンバー達。彼らが影響を受けたロトチェンコやナジ・ラースロー、マン・レイの作品の部屋のあとにメンバー達の作品がありました。

私は上記だとマン・レイ以外の写真は見たことがなくて、展示室にはロトチェンコの写真が他の二人よりも多く展示されていたので、ロトチェンコびいきになりました。
ハシゴをのぼる人を下から撮るなど、いつもの風景をよくこんな構図で撮ろうと思ったな〜という写真が展示されています。

初めに海外の作品を見ることでメンバーたちが海外の作品を自分たちなりに取り入れていったんだなというのが分かる展示の流れになっていて、先ほどの記憶があるうちにメンバーの写真を見ることができるので写真に詳しくなくても「ムム、これは先ほどのと雰囲気が似ているな」と思えて観るのが楽しいです。

高橋渡、久野久、許斐儀一郎、田中善徳、吉崎一人、小池岩太郎、伊藤研之たちメンバーの写真や絵画の作品が展示されています。


図録を持っていないので記憶が曖昧ですが、昔の写真雑誌にイルフの元に招待された県外の写真界隈で権威のある方が書いた記事が展示されていて「九州弁」のような個性を期待していたが東京や大阪の真似だ、というようなことが書いてあって、その横の記事でイルフのメンバーはそれに関しては特に何も言ってなくて、○○さんは嵐のようにすぐ来てすぐ帰って行った、みたいなことを言っていてそれが雑誌に載っているって大丈夫なのと、ゆるさを感じてちょっと笑ってしまいました。前衛写真にも「地方」っぽさを求める視線があったのだな~というのも面白い発見でした。


観ていく中で好きだなと思ったのは吉崎一人の(ボートと階段を昇る人)
(パンフレットに()付きのタイトルなっているのは何か意味があるのでしょうか)

ボートと海に面した階段を昇る人の写真で、形の面白さが伝わってくる作品でした。
展示を見た中ではロトチェンコっぽさを一番感じました。

メンバー達も利用していた喫茶店ブラジレイロは福岡市博物館の常設展に内装が展示されているあれでは?と思って調べてみたら公式サイトには名前がなかったのですが、数軒のブログで名前を見かけるのでたぶんあってるかと。
博物館の改修工事が終わったら確かめに行ってみようと思います。

福岡最古の喫茶店ブラジレイロは移転先の呉服町で営業してるそうなのでこちらもコロナ渦が落ち着いたら行ってみたいところです。

ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画 | 福岡市美術館
期間 2021年1月5日(火)~3月21日(日)

会場内撮影不可。ミュージアムショップで図録の販売あり。

不思議で怪しい?サーカス感たっぷり、福岡市美術館のヒグチユウコ展へ

12月に事前予約した時間に福岡市美術館の 『ヒグチユウコ展 Circus』へ行きました。
初日のせいかファンの方が多い気が。「東京の方はこうだったけど~」なんて言う声も聞こえてきます。

私のヒグチさん歴は、数年前に細かい描きこみのイラストに惹かれてホルベインコラボのクロッキー帳を購入したくらいの入り口レベル。

今回の展覧会はヒグチユウコさん自身初となる大規模個展として約20年の画業の中で描かれた500点を超える作品が公開されています。細部まで描きこまれた絵が多いのに量が半端ない!
そしてそれらがサーカスのテントの中に展示されているような、楽し気でちょっと怪しくて、次の部屋はどうなっているんだろう?とワクワクする仕掛けがたっぷりの会場になっていました。

 

 (会場の出入り口で撮影)

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会場内の写真は撮影不可ですが、一部展示室内のみ撮影スポットがあるのでスマホやカメラは鞄に入れておくのが良いです。
撮影スポットがある部屋ではヒグチさんが今回の展覧会チラシにも使われているイラスト《Circus》を描いている手元を撮影した映像が見られます。
「そこから描くんだ!」と驚くかも。

 

(以下2枚は撮影可能な展示室で撮影)

会場に原画が展示されていた絵本がありますね。

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前回の藤田展に比べたら若い方が多く、子供連れで熱心に見ている方もいて、家族でファンの方も多いんだろうなぁと感じました。
子供からするとなんとなく怖そうな絵なので私はこれがちょっと意外でした。

展示を全部見終わってみると、映画のポスターなどの仕事以外のご自身のイラストや絵本には、血みどろだったりするような残酷な表現はないようでした。
だから子供も安心して見られるのかな。

大人が入れない壁の下の方に空いた子供用の出入り口の穴があったり、子供の背丈で映像を見る場所があったり、主催者側にも子供の需要があることが分かってるんだと思いました。

子供の頃細かい絵の絵本をじっと見ていた覚えがあるので、ちょっと怖いけどなんか好き、みたいな感じで私が子供の頃にヒグチさんの本があったら読んで虜になっていたかもしれません。
可愛さと不思議さと怖さを人間っぽいキャラクターの設定でぐるっと包んでいるところが怖いけど親しみやすいのかもなと怖がりなりに感じた展覧会でした。

 

展覧会を見終わったところ(入場しないと買えない場所)にあるグッズショップで。
会場で気に入った絵本を買いました。ホルベインとのコラボのクロッキーブックと、サイズごとに柄の違うペン。使えるグッズはありがたいです

ガチャガチャなどもありましたよ~。

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 日時指定のチケットを事前に予約購入制で2021年2月7日まで開催中。

ヒグチユウコ展 CIRCUS | 福岡市美術館