遠出した気分になるかも?久留米市美術館『生誕130周年記念 髙島野十郎展』
緊急事態宣言が明けたらと思っていましたが、延長されてしまったのでこのまま行けなくなったら後悔するなぁと思い、平日に行ってきました。
1890(明治23)年、久留米市生まれの画家、髙島野十郎展。
入館時に検温、アルコール消毒、名前と住所の記入を求められます。展示されている作品の撮影はできませんのでこちらの看板をば。「野十郎と言えばコレ!」という作品が並んでいます。
13時過ぎごろで、最初の部屋は平日の割に多いなと感じたものの、2つ目、3つ目と展示室を移動するにしたがって人はまばらになり、ゆっくりと観ることができました。
今回の展示の構成は青年期、欧州滞在期間の滞欧期、戦前期、戦後期、光と闇の全部で5章。
久留米を出て東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業し画家の道へ進む野十郎。
ヨーロッパに滞在して絵を描き、戦時中は福岡に戻り絵を描き、戦後は関東の方で絵を描き、という生涯ずっと絵を描いていたのが分かる流れになっていました。
青年期には岸田劉生っぽい重く暗い色調の自画像もあれば、ゴッホっぽいタッチの絵もあったり。
青年期から晩年までずっと登場するりんごに注目するのも楽しいかもしれません。
スーパーで買えるようなりんごとは違って一回り小さくて形もどこかいびつで、傷がある方を見せるように描いてある作品もあり、何か思い入れがあったのかなぁと考えてしまいます。
果物や花と共に、同じお皿や壺が描かれているのを見つけて嬉しくなったりも。
初めて見た気がするのですが個人蔵の『晴と曇』という、晴れた山並みと曇りの日の山並みの風景を左右に分けて描いた作品がありました。山にある家の台所に立って小さな窓から外を見ているような気分になる作品です。よく見ると山並みの形が違うので天気が違うだけでなく、場所自体も違うのかもしれません。
屋内だけでなく外の風景や自然の作品が多いので、絵の中で遠出したような気分が味わえるような展覧会でした。
久留米市美術館 『生誕130周年記念 髙島野十郎展』
2021年1月20日(水)~4月4日(日)まで。
新型コロナウイルス感染症の関係で会期が変更になる可能性もありますので、ご来館の際は公式サイトや公式ツイッターをご覧になってからのお出かけをお勧めします。