ヨシトのたびかん

主に福岡。ときどき県外の美術館までの小さな旅や展覧会の感想など

COMICO ART MUSEUM YUFUIN(コミコアートミュージアム ユフイン)の予約方法とガイド制のツアー形式の内容とは?

「大分の湯布院に事前予約制で、ツアー形式の美術館がある」

 

そんな情報を以前から耳にしていたもののなかなか動けず、

奈良美智さんの作品が由布院にきたよ」という話を聞いてようやく

重い腰を上げたヨシトです。

 

昨年末の休みに大分のCOMICO ART MUSEUM YUFUIN へ行ってきました。

camy.oita.jp

 

 

ゆふいんへのアクセスは?

福岡空港から由布院駅前バスセンターまでは高速バスで2時間10分程度。

博多駅から由布院駅まで特急で2時間15分程度。

別府からだと山道を車で40分ほどで到着。こちらは展望台の狭霧台からの眺め。

ゆふいんの街を見下ろせる、車で行く方にはお勧めのスポットです。

 

由布院駅から観光地で有名な金鱗湖まではお土産さんや飲食店などが軒を連ねる湯の坪街道。何も見ずに歩くだけなら20分。寄り道が楽しいので2時間くらいは欲しいところです。

 

COMICO ART MUSEUM YUFUINはどこにある?

気になるCOMICO ART MUSEUM YUFUIN(コミコアートミュージアム ユフイン)の場所は湯の坪街道から一本入った通りにあります。

 

こちらは湯の坪街道に面した公園の方から見たCOMICO ART MUSEUM YUFUIN 

 (奥の黒い建物)

公園をはさむとにぎやかな空気が一変。静かな民家と川べりの近くの場所へ。

美術館がこんなに街中にあるとは思わず、山側かと思って来てみれば

平地にあり二重に驚きました。

 

黒い外壁材は焼杉で、由布院の雰囲気に溶け込んでいます。

美術館のロゴはデザイナーの原研哉

無印良品アートディレクションを務める方だそう)。

 

気になる展示内容は? 

展示は1階に村上隆杉本博司の展示室が1つずつ。

2階に奈良美智の作品。建築は隈研吾。有名どころの名前が並びます。

 

予約方法は?

まず、この美術館は予約が必要で事前に公式サイトでオンライン予約をします。

今なら(2020年1月20日現在)期間限定で1500円が1200円で入場可能。

時間帯ごとに予約ができ、ガイド付きで最大20人の参加者と一緒に 1時間かけて館内を回ります。 日本語の他に韓国語のガイドの回もあります。

(前日に予約をしたら予約完了のメールが届かず、ハラハラして受付に向かったところ、無事予約できていました。早めに予約する方が良いかもしれません)

 

入場料と満足度はどんな感じ?

私も皆さんも気になるところは

・1時間1200円(通常1500円)の入場料は高いのか? 安いのか? 満足度は?

・他の参加者と回るため1時間って長いのか、短いのか?

かなと思うので1つずつ答えてみます。

 

入場料と満足度

お茶付き、立派なカタログ付き、ガイド解説付き、人数制限あり、 由布院という観光地なのでこのくらいはするのかな~という感じです。

人数制限のことを考えると採算が取れるのかちょっと心配になったりもしますが、オリンピックイヤーなので海外からのお客様も多くなって認知度が高まれば採算が見込める、のかな?

美術館の周りの建物は研修棟として使っているそうで自社以外の会社にも貸し出しているのか気になるところです。

 

解説があると自由な見方が出来なくなるという懸念もあるかと思いますが、 この作品のどこにアーティストのこだわりがあるのか聞くと、目の前の物がまた違った見え方をするのでガイド付きツアー形式の鑑賞も悪くないなと思いました。

(ずっと1200円でお願いしたい気持ちもあるけれど)。

 1時間のツアー形式って長いの短いの?

建物の中の移動や解説を聞く時間、 写真を撮る時間、休憩時間も入れて1時間でちょうど良いくらいでした。基本は立っての鑑賞のため、足の不自由な方は椅子など借りられるか受付の時に相談すると良いです。

 

それでは、いざツアーへ!

まずは1階から。

1階の村上隆の部屋を観て、いったん建物の外に出て、杉本博司の部屋に入ります。

全員がいっせいに移動するため、どちらか片方の部屋は常に誰もいない状態になり、

作品と空間を楽しむことができます。

絵の中の月が水に映るように考えて置かれているそう。

村上隆「Snow Moon Flower triptych

 

村上隆

左から「And Then x6(Red Dots:The Superflat Method)」

           「And Then x6(White:The Superflat Method,Black and Red Ears )」

           「And Then… All Things Good and Bad,All Days Fine and Rough」

 

DOB君という名前はなんとなく知っていたものの、ドブネズミが由来ではなく、

『どぼぢで、どぼぢで、おしゃまんべ』のローマ字表記の最初の3文字がDOBの意味

だそう。

遠くから見ると白一色のような背景の塗り方も近づいてじっくり見ると細かくて驚きます。

 

 杉本博司「CARIBBEAN SEA,JAMAICA

部屋の壁にぐるりと海の写真が5点。最初は写真とも海とも思えず、これは一体何なのだろうと近づいて、波かしら? ムムム? という具合。

古代の人と現代の我々が見ることのできる同じ風景はなにかという杉本の立てた設問に対する自身の回答が世界各地の「海景」。

部屋を見回すと朝から夕方までの時間の流れを世界の海景で感じることができます。

 

そしてカラーの部屋とモノトーンの部屋を後にし、2階へ。

 

2階はこんな感じ。

NHN JAPANという企業の総合エンターテーメント・プラットフォーム comico(コミコ)に関連する漫画や展示されているアーティストの本などが壁に並べられており、

手に取って読むことができます。(知ってる漫画があってびっくり!)

 

そして窓の外には山是山という枯山水と、

由布岳を背に奈良美智の「Your Dog(仮)」。

犬に名前をつける投票が行われていて、私も一筆書いてきました。採用されるかな?

 

 

室内から見る犬は一人ぼっちだけど、あまり寂しそうではありません。

淡い白と、滑らかな表面の質感と静かな微笑み。

 

犬の方に立って見ると、部屋の中の人たちと一緒に居るように見えます。

だからこの白い犬は寂しそうではないのかな。

 

庭の草木が育つにつれ建物を包む雰囲気が変わるところまで考えられているそうで、

頻繁に訪れられない観光地の美術館だからこそ、また別の機会に観光がてら寄るのも

いいのかなと思った美術館でした。

 

 【おまけ】 

金鱗湖。早朝だともっと霧が見えたかも。

画面右端にうっすら白いのが見えますでしょうか。

 

由布院駅から金鱗湖に行く間に

ジャズ羊羹を販売しているジャズとようかんの湯布院CREEKS.もあります。

服や雑貨も販売していました。

湯布院 ジャズとようかん

 

 

由布院エリアには他にも色々な美術館があるので、温泉と美術館とスイーツ巡りも

いいかもしれません。楽しい冬の旅を!

 

別府観光 ちょろっと鉄輪・海地獄 

年末に休みが取れたので家族と旅行に行ってきました。

普段の倍くらいの金額に驚きつつ、のんびりしてきました。

観光地もホテルも人が多かった!

 

先日の鉱物展から6sをiPhone11Proに変えまして、

今回は広角が活躍しています。鉱物展はポートレートモードがおススメでした。

 

 

別府湾サービスエリアから。

 

別府市内。鉄輪の大谷公園。湯けむり? すぐ近くに無料の足用岩盤浴もあり。

 

大谷公園からも近い

地獄蒸し工房鉄輪が90分待ちだったので諦めて

別のお店でとり天定食を食べました。

 

海地獄。広角で撮ったため周りがゆがんでいますが、湯けむりの勢いが出てるかも?

温泉に硫酸鉄が多く溶解しているから水面が青く見えるそう。 

2019年はタイルに始まり、鉱物で終わる年でした。

 

温泉の熱を利用した温室。蓮が育てられています。

 

 

 

年明けから眼福『音と旅する鉱物展』三菱地所アルティアム

福岡市天神のイムズ8階にある三菱地所アルティアム

九州大学総合研究博物館の鉱物コレクションの展示が行われています。

artium.jp

 

展覧会のチラシによると

 

"国内でも最大級の750万点の貴重な博物標本・資料を収蔵する

九州大学総合研究博物館の中から選りすぐりの鉱物コレクション約100点を

現代アートや舞台、映像など幅広い分野で活躍する音楽家 原 摩利彦が手がけた

音とともに紹介いたします。”

 

とあります。

鉱物だけでも行く気まんまんなのに、音がある展覧会ってどんなものだろうと

大変興味が湧きまして、12月の末に行ってきました。

 

 

アルティアムの展示室は3つに分かれていて、上の写真のような導入部分と、

左手の1つ目の部屋に「TIME #1 内包された時間」「TIME #2 時間が止まった森」

奥の部屋に「SPACE」というテーマで鉱物が展示されていました。

 

 

 

2つ目の部屋では鉱物を載せた台の下にスピーカーがあるのか、

鉱物から音が流れてくるような演出がされています。

自分に鉱物の声を聴く能力があったらこんな風に音が聴こえるのかも。

 

天河石。表面がまるで波のよう。

 

模樹石。植物っぽいのに植物の化石ではないのです。フラクタル模様と呼ばれるそう。

 

お肉やお刺身に見える鉱物も。

 

お正月にぴったりの栗きんとんっぽい鉱物。

 

 

ミュージアムショップでは鉱物や鉱物にまつわる本、

こうぶつヲカシの鉱物の形をしたお菓子の販売などもありました。

 

展覧会は2020年1月26日(日)まで。

初売りやバーゲンついでに訪れるのも良いかもしれません。

不思議だな綺麗だなと思うと同時に、とても物欲が高まる展覧会でした。

 

 

 

2020年もよろしくお願いいたします

今日から仕事始めのヨシトです。(もうちょっとゴロゴロしていたかった)

 

今年も色んな展覧会に行けたらいいなと思っております。

ブログもぼちぼちやれたらいいなと思います。

今年も一年よろしくお願いいたします。

 

ヨシトさん、旅の計画を練る

最近青森へ行きたい熱が高まってきていまして、

どうにかこうにか休みが取れたら行きたいなと思って調べています。

職業柄、年末年始は仕事のことが多いので

年明けに行けるといいなというところです。

 

一番のネックは九州から青森までは直通便がないこと!

滞在時間を多くして旅費は少なめになどと考えるとなかなか決まりません。

でもようやく必要な情報が揃ってきて旅程が見えてきた感じです。

早く決めてしまいたい。とほほ。

 

十和田市現代美術館のこの展覧会に行ってみたくて。

towadaartcenter.com

会期終了間近なのでお近くの方は行ってみるといいかもしれません。

 

青森に行くならこちらも外せない! 青森県立美術館。

こちらも行ってみたいところです。

www.aomori-museum.jp

『挑む浮世絵 国芳から芳年』福岡市博物館で「よしよし」展

国芳は好きなんだけど芳年は怖いイメージがあって、

行くのをためらっていたヨシトです。

しかし、芳年の「よしと」までは名前がかぶっているし、

ツイッターで音声ガイドがゲームやアニメでよく存じ上げている

声優の鳥海浩輔さんと知ったからには行かねばなるまい。

 

それに芳年の怖い以外の一面に出会えるかもしれないと淡い期待を胸に抱きつつ

ヨシトは一路、福岡市博物館へ向かうのだった。

 

『挑む浮世絵 国芳から芳年へ』は 

歌川国芳(1797-1861)と月岡芳年(1839-1892)がメインの浮世絵の

展覧会。国芳の元にはたくさんの弟子がおり、芳年国芳の弟子の一人。

展示の終わりの方には芳年以外の弟子の作品もあり。

見ていくと、これでもかこれでもか、と

当時の人が見たら驚いたんじゃないかという臨場感あふれる

浮世絵がたくさん並んでいました。

 

 

 

国芳の「児雷也(じらいや)と大蝦蟇(おおがま)」

児雷也の敵はNARUTOを知っている方なら答えられるであろう、

大蛇丸(おろちまる)! 真ん中だけだと地面で戦っているように見えるけれど、

3枚揃うとこういうことか! と分かって面白い。

 

 

 

途中、進んでいくとこんなお触書が。

 

怖い絵を見ない選択もできますが、ここまで来たからには見ないで帰れません。

進撃の巨人』『鬼滅の刃』『PSYCHO-PASS サイコパス』『東京喰種』『寄生獣

など血みどろシーンのある漫画やアニメなどを見てきた私ではありますが、

自分の知らない恐怖があるのでは、と思うとちょっと足がすくみます。

(2)の関所でチェックした後、

通路の先に頭だけ突っ込んで人が居ることを確認して、いざ中へ。

(これ以降、過激な表現の浮世絵の写真があります。OKの方のみスクロールして

お進みください)

 

 

月岡芳年

「英名二十八衆句(えいめいにじゅうはっしゅく) 由留木素玄(ゆるぎもとはる)」

 怖いのは見たくないけど、文字だけでなく着物や小道具まで細かく描かれていて、

ついついまじまじと見てしまう。真下から見ると着物に模様が見える仕掛けも。

手が込んでいます。

 

 

 

怖い絵のコーナーを抜けてホッと一息。

月岡芳年「皇都会席別品競 久保町売茶亭 春本いく」

こんなところに猫が。国芳の猫好きは芳年にも受け継がれていたのかな?

 

芳年のとってもセクシーな浮世絵。

「風俗参十二相 かゆさう 嘉永年間かこゐものの風ぞく」

下がり気味の眉と目と少し開いた唇が色っぽい。

 

絵草紙屋の展示も。

 

  

そして今回私の中の芳年像が変わった「一ツ家」のコーナーへ。

 

 

国芳46歳ごろの「観世音霊験(かんぜおんのれいげん)」

 

 

芳年34歳。「一魁随筆 一ツ家老婆」

 

芳年47歳。「奥州安達がはらひとつ家の図」

吊るされた妊婦が実の娘だと知らずに、

老婆があやめてしまう場面。老婆の体は細いけれども、まっすぐ妊婦を見る眼差しや

包丁を研ぐ手つきに一人で人をあやめて生き抜いてきた逞しさを感じてしまう。

芳年が老婆にこめたリアルさを感じる。

 

芳年52歳。「月百姿(つきひゃくし)孤家月(ひとつやのつき)」

老婆が火をつけようとする縄の先には石が吊るされ、その下には旅人が。

旅人の運命やいかに!見る人がハラハラドキドキ。

 

 

 

 終わりよければすべて「よし」。国芳「浮世よしづ久志」

 

怖い浮世絵もあったけど、時代に合わせて

進化をやめない国芳芳年たちの挑戦を見た展覧会でした。

音声ガイドは「よしよし」言われるので名前によしのつく方は

ぜひ借りるが「よし」です。

 

 

【おまけ】 

実はキャンペーンに惹かれて、期日までに行って感想ツイートをしてみたら……。

ありがたいことに当選しました!

福岡市博物館所蔵、旧吉川観方コレクションの国芳芳年の浮世絵のカレンダーです。表紙は国芳の「相馬の古内裏」の3枚続きのうちの2枚。

黒い背景に浮かび上がる巨大な白い骸骨。屋内に居る人間を覗き込む仕草に

これから始まる闘いの予感を感じてワクワクする浮世絵です。

今回の展覧会ではこのカレンダーに無い左端の1枚を見ることが出来ますよ。

 

 

 

 

 

 

 

面倒くさがりヨシトさんの回

~今回はダメ人間ヨシトさんの回のため、展覧会の話とはあまり関係がありません~

 

先日、福岡市博物館の『挑む浮世絵 国芳から芳年へ』

通称、よしよし展に行ってきました。

museum.city.fukuoka.jp

 

私は月岡芳年のことを良く知らないので「調べなくちゃ」というプレッシャーに

押しつぶされ、逃げまくり、早くも一週間が経ってしまいました。

(そして調べていない)

 

国芳芳年、ヨシト、なわけで「よし」の名を名乗るからには

行かねばなるまいと思って行ったわけですが、

調べるのはおっくうだし、書きたい気持ちが湧いてこず、

という毎度のことながら面倒くさがり病が発動。

 

毎日きちんとブログを更新している方と比べて凹み、何もできてないと

自分を責める日々。ハァ、書くのが好きな人になりたかった。

 

こんなことをずっと繰り返しながらブログを10年以上やっていて、

毎回やめよう、やめようと思っているのに

やめきれない。なんたる病だ。

(もったいない病だと思う)

 

そんな私ではありますが今年はキリ良く60記事を目指して、

もう少し書けたらと思う自分もいたりするのです。

 

人と比べず、去年の自分よりちゃんとまとめられたなぁ~と

思えたら嬉しいので、このブログはたぶんもうちょっと続きます。

たぶん。

 

 

 

 

入門編にちょうどいい『熊谷守一 いのちを見つめて』久留米市美術館

最近、出不精のわりによく出歩いているヨシトです。

今回は、映画『モリのいる場所』でご存知の方も多いはず、

久留米市美術館で開催中の熊谷守一展へ行ってみました。

会期は2020年の1月13日(祝日)まで。(展示室内の撮影は不可です)

 

 

美術館がある石橋文化センターの敷地の池の白鳥。

イチョウの落ち葉が絨毯のように広がっています。

 

 

熊谷守一の初期の作品から看板にあるような晩年までの作品がずらりと並ぶ展覧会に

なっていました。

作品や年表を見ると生きている時から売れっ子の画家だったことが分かります。

モリのいる場所』の題名だけ知っているような私にも優しい、

【入門編】の熊谷守一展と言えそうです。

 

守一は岐阜の生まれで、同じく岐阜出身で博多の聖福寺のお坊さんの

仙厓さんの言葉を書にしたものもありました。

 

 「ぐるりと家を取りまく貧乏神 七福神は外へ出られず」

 

仙厓というサインまで大きく書いてあるところがこの言葉を知らない人にも優しい。

検索してみると、新築祝いに家の主から何か書いてと頼まれて

仙厓が書いた言葉だそう。

貧乏神まで書いて一呼吸置き、主を慌てさせたあと、

下の句でほっとさせ、喜ばせたのだとか。

 

キャプションによると、切り花さえも花の死骸のようだと言って人の手が加わっているものを絵に描きたくなかったという、守一。

たしかに『玩具』という絵以外は人や動物、植物、風景、虫などばかりです。

晩年、76歳あたりから家から出なくなった守一は、家の庭の植物や虫、

飼っている鳥などを観察して特徴を捉えて描いています。

 

平面的で、そのものがそれらしく見える最小の数の線で描かれているよう。

色は鮮やかで生き生きとして見えます。

 

アンリ・マティスが体調を崩し、晩年に切り絵で作品を制作していたのと

似ているなぁと思いながら絵を見ていたのですが、

切り絵は輪郭線がなく、色が混ざって重なりあうことはありません。

守一の絵は1つの輪郭線の中に一色だけの時もあれば、色を重ねている時もある。

だから何だと言われたら特に結論はないのですが、似てるけど違うのが分かったのが

今回の展覧会の私の収穫です。ほくほく。

 

敷地内の花壇の輪郭線があるように見える植物。

守一だったらどんな風に描くのでしょうか。

 

熊谷守一 いのちを見つめて | 久留米市美術館 | 石橋文化センター

 

久留米市美術館の『熊谷守一 いのちを見つめて』展の後は1階の『久留米絣作品展』と『日本の伝統美と技の世界』へ。どちらも入場無料で2019年12/1(日)まで。

写真撮影可能なものと、不可なもの有。

和服の布地や和紙に触れられるコーナーもあります。

 

『技の世界』の着物の生地は久留米絣の他に小千谷縮越後上布結城紬、喜如嘉の芭蕉布宮古上布、久米島紬も見られます。久米島紬を初めて見たのですが、

黒をベースに茶色やベージュの模様のものがあってキュンとしました。

伊勢型紙も初めて見て、驚きがいっぱいでした。

 

知らなくてもコワくないよ『アジア美術、100年の旅』福岡アジア美術館

のんびりしてたらあっという間に会期終了間際のアジ美に行ってきました。

(2019年11.26日まで!)

アジ美こと福岡アジア美術館はアジアの近現代美術を専門的に紹介する

世界に唯一の美術館として1999年に開館し、今年はなんと開館20周年。

博多座の隣にあるリバレインセンタービルの7・8階にあります。

 

今回の展示は第一部が「東アジア」「東南アジア」「南アジア」の3つのエリアに分けて、それぞれの地域性が色濃く表れている作品を中心に展示してあるということで

展示室を歩きながら旅するように見ていきます。

 

 

それぞれ3つのエリアごとにそのエリアに関する本や旅のガイドブックなどが

置かれていて、本を読むこともできます。

本の横にはアジ美併設のカフェで食べられるセットの紹介も。

 

 

さて、皆さんはアジア美術、しかも近現代のアジア美術なんて学校の授業で習いましたでしょうか?

数十年前の学生の私の記憶を振り返ると、さっぱりなかった気がします。

教科書に載っているような西洋絵画のように

「この展覧会に行けばこの作品が見られる」

という予定調和の安心感がないゆえに、どうしても行くのがおっくうになってしまう

気持ちと、休日は家でダラダラしていたい気持ちが相まって会期終了間近の来館となったのでした。

 

そして気になる展覧会の様子をば。

今回の展覧会はすべて写真撮影OKで、撮影に集中すると実物をよく見ない癖が発動するのでなるべく絞って撮影しようと決心し、会場入り。

しかし、結果は69枚写真を撮っていました。決して優柔不断ではなく、ブログの資料として必要になるかもって思ったからです。(小声)

 

全部を載せるのは難しいので、特に気になったものを紹介。

モンゴルの方で、ダグヴァサムブーギーン・ウーリントゥヤ『わたしは凧』

空に浮かぶ女性の姿が気持ちよさそうなところと、切り離されたいと考えている眼下の人間たちの姿にもどこか愛嬌があって、憎めないところがあります。

 

そして所変わって壁一面にパキスタンの映画ポスター。一体どんな内容なんだろう、と想像が膨らみます。その国の女性のお洒落や美人像などが分かる気がします。体型はふっくらで唇は厚め、目に力を入れたメイク、ロングヘアが基本、なのかな。

1969~1984年に制作されたポスターなので、現代はもっと違う価値観になっているのかも?

 

 

 

第二部の「アジアのなかの福岡」ではアーティストたちが福岡に滞在して作品を生み出す、アジア美術館の滞在制作事業によって生み出された作品の展示がありました。

 

映像作品でお見せ出来ないのが残念ですが、

中国の方でチュンリン・ジョリーン・モク『店を見る』

 

川端商店街の16店舗を撮影したビデオです。

ナレーションは出てくるお店の息子さん。

帽子店、洋服店、ししゅうのお店など、商店街で見かけるお店がたくさん出てきます。

商店街で働く人たちがどんな風な1日を過ごしているかを淡々とありのままに、

映しています。お店の人から聞いたエピソードも有り。

派手なことは起こらないけど、経験したことのない誰かの日常って面白いです。

知ってるようで知らないことを発見できたビデオでした。

 

 

 

アジア美術ってどんなものかぷらっと

美術館を旅してみると自分の好きな作品が見つかるかもしれません。

知らなくても怖くないですぞ。

faam.city.fukuoka.lg.jp