2018.8月水と土の芸術祭&新潟市内観光(前編)
新潟までは地元の空港からプロペラ機で!
新潟駅についたあと、バスに乗って古町エリアへ。商店街の中のニワトリカフェというところ。早めのランチを食べていたら12時近くになると満席!
ガイド本で見ると人気のカフェだそう。
古町の商店街から10分ぐらい歩いて
どっぺり坂。新潟は海岸沿いに砂丘があり、海の方に近づくにつれて海抜が高くなるそう。
坂の上に何があるのか気になって上ってみたら、
「水と土の芸術祭」ののぼりが。入場無料ということでぶらりと入ってみます。
砂丘館の二階。こちらの建物は窓全開にしているので暑さと闘いながらの鑑賞。
風がそよとも吹かないけど涼し気な和室。
蔵や、一階には洋間の応接室などがある旧日本銀行新潟支店長役宅。
今はギャラリーやイベントごとで使われているようです。
少し歩いて新潟大神宮。
もう少し歩いて旧齋藤家別邸。ボランティアの方に庭の成り立ちやお屋敷の家具の
見どころなどを伺ってしばし休憩。別荘として建てられ要人が招かれた建物だそう。
こちらも基本的に窓全開のためクーラーは効いておらず暑さとの闘い。
立っている時より、畳の上に座ってみると風を感じる。
砂丘地形を利用した回遊式の庭園。お庭の方から建物を眺めることもできる。
少し歩いたところにある
カトリック新潟教会をちらっと見学して
(中にも入れます)
すぐ近くのネルソンの庭というカフェへ。新潟産の桃を丸ごと使ったパフェに
バタフライピーというハーブティーを頂きました。
レモンを入れると青から紫に変わる!青の時は癖のない味でレモンを入れると
レモンの味のする飲み物になる。アントシアニンが豊富だそう。
もっと歩ける季節なら海まで歩きたかったな。
そして翌日のバスツアーのために越後湯沢駅の宿に向かいます。
連結する新幹線なんて初めて見たぞ!
しかも二階建ての新幹線!九州は走ってないので一人ホームで興奮する私。
越後湯沢駅ホーム。反対側にはたくさんの高層ホテルが並ぶザ温泉街!
二日目のバスツアーの記事へ
一日の流れ編(文字のみ)
バスツアー写真編
三日目の新潟市内観光の記事へ
オフィシャルツアー カモシカぴょんぴょんコースに参加してきました(写真あり)
引き続き越後妻有アートトリエンナーレ2018 大地の芸術祭、バスツアーの大まかな一日の流れと写真です。
清津峡トンネル マ・ヤンソン /MADアーキテクツ「Light Cave」
タモリさんが喜びそうな柱状節理の岸壁。
マグマが冷えて固まる前に出来る岩なんだそう。
トンネルの奥まで行くとお目当てのスポットが!
カメラを「ハイ!」
「チーズ!」
とても人が多い中、時折ふっと人が途切れたりする。
磯部行久記念
「川はどこに行った」を見に行く途中の畑。
目的地の途中。その土地の暮らしが見られるのはとても面白い。
磯部行久
土石流のモニュメント
サイフォン導水のモニュメント
自然が広大なのと作品もスケールが大きくてびっくりする。
奴奈川キャンパス 廃校になった学校を利用した施設。
TSUMARI KITCHENでバスツアー専用のコース料理を頂く。
前菜。
お洒落にアレンジされた冷や汁。
新潟のブランド豚肉。ボリュームもあって満足!
新潟の甘酒を使った冷たいデザート。シャリシャリして甘い。
腹ごしらえをして1階と2階の教室を回ります。
校庭には遊べる乗り物も。ランチ含め1時間でしたが意外と全部見て回れました。
星峠の棚田。朝もやの中や夕暮れ時などで雰囲気が変わるそう。
脱皮する家 鞍掛純一+日本大学芸術学部
(奴奈川キャンパスにもあった壁の彫刻作品もこの方たち)
たくさんの人が数年かけて家の内側を彫刻刀で彫っている。怖く見えそうだけど行ってみるとそうでもなかった。
松代商店街エリア。
このエリアで一番人気の「黄金の遊技場」 豊福亮
よくよく見るとスロットマシーンがご当地風に!
急な階段を上ると麻雀卓が置いてあったり、外から見てるだけでは分からない派手な内装。
この日の気温は38度近くでしたが、さらに暑く感じられそうな
「カサバラタ」 ムニール・ファトゥミ
冬に見たら暖かそうと思うのか寒々しいと感じるのかどっちだろう。
涼しいところでお昼寝タイムの猫。
雪の降る地方用のごみ置き場にワクワクしてしまう九州人。
民家を抜け300メートルくらい歩いて本当に合っているか不安になってきたころ
突如現れる「ゴースト ダンス」 アデル・アブデスメッド
日中も光っているが、日が暮れて時間が来るまでは光っているそう。夜が綺麗らしい。
集合場所へ向かう途中の花。
まつだい「農舞台」
越後妻有トリエンナーレと言えば一番よく見る写真で以前から気になっていた作品。
文字の幕は鑑賞者の目の前にあり、それを通して写真を撮ることで棚田に文字がかかっているように見える。タネを知った時驚いた!
そして棚田に置かれた彫刻の大きさにも驚く。
花咲ける妻有 草間彌生
「農舞台」展示室、展望台、カフェなどもある。
建物の脇には
「かまぼこアートセンター」 小沢剛
バスで移動中いくつものかまぼこ型の屋根の車庫兼物置のような建物に遭遇。
それがアートになっている。
中が覗けることを知らなかった!暑くて日陰から出なかった私に喝を入れたい。
越後妻有里山現代美術館〔キナーレ〕
Palimpsest レアンドロ・エルリッヒ
プールの底に美術館を反転させた大きな写真があり、上手く撮れれば空や建物がくっきりとプールに映し出されるかも。プールの底に別の世界が広がっているようで面白い。
企画展「2018年の〈方丈記私記〉建築家とアーティストによる四畳半の宇宙」
池部分をぐるりと囲むエリアには色んなアーティストの4畳半作品が並ぶ。
大きなかき氷かと思ったら、羊毛に覆われた美容室だった。
岡藤石「羊の美容室」
喫茶TURN 日比野克彦
行ったときには終わっていたけど、その日の気温に温められた水が飲めるところらしい。かまぼこ型建物再び。気になる中に入れる!
数秒でお隣りへ。
10th DAY MARKET ひびのこづえ
ひびのさんのハンカチなどお土産になるものがたくさん。
この写真は裏側から撮ったもの。
越後湯沢駅に戻ってきました!
19時前に戻ってこれたのでお土産屋さんも開いててラッキー!
この日は遅れることもなく良かったみたい。
集団行動なので19時までギリギリの日もあるかも。
可愛い看板に見送られ、新潟市内へ。
越後妻有アートトリエンナーレ2018 大地の芸術祭に行ってきました!(公式バスツアー・一日の流れ)
新潟へ飛行機で飛び、日中市内を観光した後、
新幹線で越後湯沢駅へ。
そして1泊し、お目当ての越後妻有アートトリエンナーレへ。
( 妻有と書いて「つまり」と読むそう)
今回は初めてなのでオフィシャルバスツアーに参加してみました。
9時半すぎに越後湯沢駅を出発して、19時頃(この日は18時半頃)に戻ってくる
というまさにカモシカのようにぴょんぴょん飛び回るバスツアーです。
オフィシャルツアー「カモシカぴょんぴょんコース 里山・土木編」
ふだん、出来るだけ公共の乗り物で美術館に行くことを信条としている私は
このトリエンナーレに行くことを決めた時も調べてみたのですが、電車で行ける施設が思いのほか少なくて思い切ってランチ付きの9,800円のこのバスツアーに申し込んだのでした。
(ツアー費の他にトリエンナーレのパスポート代3,500円が別途かかります。
バスツアーの受付で事前に購入したスマホのパスポート画面を見せると実物のパスポートに引き替えてくれます)
約9時間ほどの内訳としては
ランチこみ見学時間338分・・・6時間弱
移動時間195分・・・3時間ちょっと
集合しては見学、移動、水分補給を繰り返す結構ハードなバスツアーでしたが、
個人でレンタカーで巡った場合の駐車場の待ち時間や運転時間、道のリサーチなどを
考えるととても楽だなと思いました。ランチも美味しかった!
移動中にバスガイドさんが作品やアーティストについて
説明してくださるので予習をしていかなくても楽しめました。
(ガイドさんは「アートの専門家ではないので」と仰っていましたがとても詳しく喋ってくれたので道中飽きませんでした。酔いそうな文字量を読み上げて下さってた!)
スタート
↓移動約30分
↓
清津峡トンネル マ・ヤンソン /MADアーキテクツ「Light Cave」 40分~50分
↓移動約20分
↓
磯部行久
川はどこに行った
信濃川はかつて現在より25メートル高い位置を流れていた 15分
↓移動約15分
↓
土石流のモニュメント
サイフォン導水のモニュメント 18分
↓移動約20分
↓
奴奈川キャンパス 見学とランチ含め1時間
TSUMARI KITCHEN(昼食)
↓移動約15分
↓
星峠の棚田 5~10分
↓移動約5分
↓
脱皮する家 15分
↓移動約30分
↓
松代商店街 30分
黄金の遊技場 豊福亮
カサバラタ ムニール・ファトゥミ
ゴースト ダンス アデル・アブデスメッド
SF(Summer Fiction)金氏徹平
↓移動約15分
↓
まつだい「農舞台」 25分
企画展「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリアの大地の音」
花咲ける妻有 草間彌生
↓移動約35分
↓
越後妻有里山現代美術館〔キナーレ〕30分
Palimpsest レアンドロ・エルリッヒ
企画展「2018年の〈方丈記私記〉建築家とアーティストによる四畳半の宇宙」
など
↓移動約10分
↓
喫茶TURN 日比野克彦
10th DAY MARKET ひびのこづえ 10分
(十日市駅で降りる方はここまで)
↓移動約60分
↓
写真が無いとつまらないので次の記事は写真をたっぷりと!
2018年8月26日まで。鈴木春信 ボストン美術館浮世絵名品展
春信が生涯に描いた浮世絵は約1000点と言われていて、そのうちの600点以上を持っているのがこのボストン美術館。
しかも世界で1枚しかない絵も数点来日していて、これは行かねば!と思い福岡市博物館に行ってきました。
(前売りを買ってたのに開催期間を勘違いして慌てて観に行ったというのは伏せておきます。えへへ)
浮世絵が黒1色だけ、多くても2、3色の時代から
色が溢れる浮世絵らしい浮世絵になっていった時代の絵師です。
春信と言えば「見立て」。
歴史上の出来事や物語を若い男女などに見立てて浮世絵として再現しています。
歴史や和歌を知らないと意味が分からぬものもあり、当時の教養のある人たちの依頼を受けて描かれたんだろうな~と思われます。
有名な屋島の合戦で源氏方の那須与一が平家方の船上の的を射たエピソードも
男女で再現。与一役の男性の茄子畑の背景に思わず笑ってしまいます。女性の着物には
帆を張った何艘もの舟の絵が描かれ、合戦のエピソードを彷彿とさせます。
春信は厚手の良い紙を使っていることもあり「空摺(からずり)」というエンボス加工の作品が多くあります。雪が描かれている作品は白の部分が盛り上がったり凹んだりしているのでこれを見るのも生で浮世絵を見る楽しみの一つかもしれません。
山田全自動さんのイラスト付きのコメントも面白いので浮世絵が身近に感じられるかも。
2018年8月26日まで!
東京都写真美術館『イントゥ・ザ・ピクチャーズ』展に行ってきた
2018年6月末東京のおぼろげな記憶5
そして最後は恵比寿にある東京都写真美術館へ。
建物に向かうにつれて強くなる風。まさに突風・・・TOPMUSEUM!
ということで名前が記憶に残る美術館になりました。
今回は『TOPコレクション たのしむ、まなぶ
イントゥ・ザ・ピクチャーズ』を観ました。(2018.8.5まで)
展覧会に行くというと身構えてしまう方も多いと思うのですが、
そういう方にこそ行ってほしい展覧会でした。
(サイトの導入部の文章だけでも読んで頂きたい!)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3050.html
作品を楽しむってどうするんだろう?
写真から何を読み解いていくか。
学生たちが考えたことが最初の方に展示されていました。
作品を時代背景から読み解く以外に、目の前にある作品の中から想像を広げていく
方法は、じっくりと作品に向き合ったからこそ発見できたことで、
作品を見る楽しさは自分で何かを見つけることなんだなと再認識しました。
私は作品を見た時の自分の気持ちの動きを知ることも
展覧会鑑賞の面白さなんじゃないかなと思っています。
自分のことってよく分からないけど、この作品を見た時どういう風に感じるのかが
分かると、私ってこういうのも好きだったんだなぁ!って自分を発見できた気になりませんか。
それと、
作品をじっと見ている時って日頃のなんやらかんやらをとりあえず置いておいて
目の前にある作品と向き合うので、心がすっきりする気もするんです。
そんなことを考えながら日本や海外の写真家の作品をいつも以上に
ゆっくりと観て満喫した展覧会でした。
8月11日からは第二弾もあるそうです。(2018.8.11-11.4)
デジタルアートミュージアム チームラボ ボーダレスを体験!
2018年6月末東京のおぼろげな記憶4
今回の旅の大本命は、パレットタウンの大観覧車の下に入り口があります。
デジタルアートミュージアム チームラボ ボーダレス。
今のところ前売りチケットを持っている人しか入場できないので
行く前にネットでチケットを買っておくとスムーズです。
オープン前に行くとすでに長蛇の列。チケットを持っていても30分ぐらいは
外で並んだので真夏は日よけ&日焼け対策をしっかりしておくとよいかも。
外側から見ると大きな倉庫のような館内に入ると、真っ暗の中いきなり3つの道に分かれ、訪れた人たちは思い思いの方向に進んでいきます。
地図もなくどの順番で進んでもよいので、さっきまでの行列もあっという間にはけていき、人は多いけど歩けます。たぶん開館直後が一番人が多いので夕方や夜に来た方が
空いているかもしれません。道に迷ったりトイレの場所が分からなかったら要所要所にいるスタッフさんに案内を頼むといいかも。
子供も大人も楽しめそうなのが、自分で描いた絵が動く部屋。
海の生き物の部屋と、陸の生き物の部屋があります。
何種類かの生き物から一つ選んでクレヨンで絵を描き、スキャナで取り込んでもらうと、
海の中に自分の絵が現れ、好き勝手に泳いでいます。選んだ生き物の種類によって
泳ぐスピードや泳ぎ方が違います。
高い壁に投影された絵が一刻一刻変わっていく。
お目当てのランプの部屋。入場は入れ替え制。
部屋の外で待っている間、中にいる人の様子が丸見えなのですが、
部屋に入ってみると静かで、しかも中からは外の人の様子が見えないので
待ってる人の視線を気にすることなく楽しめたのが良かった。
たくさんの人が入るほど色が増える仕組みだそう。
ちょっともわっとして蒸し暑いけど面白い、スポットライトの部屋。
床は鏡のようになっている。直線のイメージのライトだったけど、たくさんの光が渦のように集まって雲のようになっていったり、光に色が着いたり。
機械が作るアート!という感じだった。
一生分のスポットライトを見た気がする。
EN TEA HOUSE 幻花亭
注文すると小さな容器に入った茶葉が渡され、席についてそれを渡すと
お茶が運ばれてくる。お茶がある間は器の中に花が咲き、時間が経つにつれて別の花に変化していく。茶葉を渡したとき「○○ですね」って味を言い当てられたのがすごいと思った。容器に何かタネがあるのかな。
敷地内の飲食はここだけで、緑茶ベースの飲み物のみしかないのでご飯はパレットタウンで!という流れのようです。
和をテーマにした作品が多いので外国の方も多く、楽しんでるみたいでした。
国立西洋美術館の 『ミケランジェロと理想の身体』展へ行ってきた
2018年6月末東京のおぼろげな記憶3
お次は上野の国立西洋美術館の
『ミケランジェロと理想の身体』展へ。
現存する40点のうち2点が同時に日本に来ているそう。
あまり下調べせずに来たので入る直前に期待が高まる。
チケットを買い地下へ降り、会場の入り口の前の展覧会のまとめ映像を見て予習。
柔らかな低音ボイスが耳に心地よい安元洋貴さんの音声ガイドを借りていざ鑑賞。
古代ギリシャ・ローマ時代の作品と15~16世紀のルネサンス期の作品との
比較で違いを学ぶ。
(子供っぽい子供が古代なら、ちょっとムキムキなのがルネサンス)
ミケランジェロの作品は会場の終盤に二作品が並べられていて、
「ダヴィデ像」=「フィレンツェの5メートル近くあるダヴィデ像」のイメージだった
ワタシは≪ダヴィデ=アポロ≫像を見てわりとがっかりした。
(館内に入る前から分かっていたのに、アレが出てくることを最後まで期待していたのだ!)
ちなみに台座を入れると5メートル級のダヴィデ像は20代、今回来日中のダヴィデ像は50代半ばに彫られたものだそう。
若い頃に彫られたものより小さい(147cm)分シンプルな表現になっている気がする。
お肌の表面もわりと近くで見ることが出来るのがこの展覧会の見どころかもしれない。
下の写真は撮影可能なヴィンチェンツォ・デ・ロッシのラオコーン像。
360度ぐるりと見て回ることが出来る。
教科書などでよく見るラオコーン像は古代ギリシャの彫像。
よく見る写真と違うぞ・・・と感じたのは間違いではなかった。
古代ギリシャのラオコーン像は1506年に発見され、
上の写真のラオコーン像はルネサンス期のもので原寸大の大理石の模刻。
展覧会を観ている時はさっぱり分かりませんでしたが調べてみてようやく
すっきり!
彫刻を見に海外に行きたい欲も出てきました。
イタリアとバチカン、一生に一回くらい行けるでしょうか。
東京国立近代美術 工芸館へ行ってきた
2018年6月末東京のおぼろげな記憶2
さきほどのチケットで国立近代美術館の常設展と工芸館も観られるぞ、ということで
同じ館内にある常設展を見たあと、ゆるい坂を数百メートル上って工芸館へ。
古い物から新しいものまで、陶器やガラス工芸品などを展示。
撮影可能な作品も多く、ワクワクしながら回りました。
ゴードン・マッタ=クラーク展が見たことのない世界で衝撃を受けていたため、
なじみのある作品を観てちょっとほっとしました。
本館と工芸館の道沿いにはあまりお店が無いようだったので、
ちょっと奮発して国立近代美術館併設のレストランでランチを食べました。
店内からは皇居のお堀が見えて、春だったら桜が楽しめそうでした。
そして元気を取り戻した私はまた歩き出します。
東京国立近代美術館 『ゴードン・マッタ=クラーク』展に行ってきました
6月末にふらっと行ってきた東京の記憶。(1~5)
2018・6月末東京のおぼろげな記憶1
ゴードン・マッタ=クラーク展 2018.6.19-9.17
行ったことのない美術館、聞きなれないアーティストの名前に惹かれて展覧会へ。
1970年代にニューヨークを中心に活動しわずか35歳で不慮の死をとげた彼。
美術館の中ではなく屋外や街の中での作品がたくさんあるらしい。
一人の人間が出来る創作なわけだから、きっと小さなものに違いないと思って行ったら全然違った。
主に写真や映像、要所要所に屋外での作品の一部を展示。
フェンスに作品を展示したりして外の雰囲気を出しているコーナーもある。
入ってすぐの部屋から建物の天井や床をカットした写真に出迎えられるのでわりと驚く。まだ使用可能な建物の天井や床がカットされて普段見ることがないような見え方をしている。廃墟、というより今から何かが出来上がっていく工事現場のような写真がたくさんある。
一軒家を切断する映像もあった。家の土台の石をハンマーのようなもので叩いて壊していて思わず立ち止まってじっと眺めてしまった。
(上半身裸なので危ないから服を着て!と思いながら)
カットとか切断と言うとさらっとしたイメージだけど、建物の一部を削ったり壊したりして自分の中の完成図に近づけていくのはかなりの重労働だ。
たぶんゴミ問題の一環で、今しがた乗ってきた車が重機でベコベコに潰されてスクラップにされていく様子を映した映像作品もあった。
使えるものとゴミの差は何だろう。
使われなくなった建物に新しい価値を与えることはできるか……とかそんなことを考えてたんだろうか。
行く前はクールで孤独な作品作りをする人のイメージだったけど、展示を観ると情熱的な考える野生児が街の皆を巻き込んでいくイメージに変化していく。
(あまりいい例えが浮かばなくてゴードンさんすみません)
「取り壊し前の建物を切断して見慣れた日常を新たな空間・時間へと変容させる」
<ビルディング・カット>の模型。
(いくつかの建物を切断しているので多分その中のどれかの模型)
使われていない工場の壁を切り取った写真。これはなんとも綺麗。
外から見るとこんな感じ、という次の写真で大きさが半端ないことに気付く。
近くのキャプションに「勝手に穴を開けたため罰金から逃れるべくパリへ渡った」というような一文がある。漫画のようなエピソードにちょっと好感が持てた。
夏の熊本で。蜷川実花展
先月に引き続き、今月もまた熊本へ。
アーケード内のセールを眺めて喫茶店で腹ごしらえをした後、
熊本現代美術館の蜷川実花展を見てきました。
会場の入り口で撮影可能な展示作品の説明を受け、いざ中へ。
壁も床も桜。額に入れられて飾られている写真も桜の部屋。
最初の部屋からテンションが上がります。
次の部屋の壁にはたくさんの花の写真が!
「永遠の花」
もらったプリントを読んだところ、これはぜんぶ造花のよう。
鮮やかできれいで花が本物かどうかなんていう疑問がまったく湧かなかった!
造花と写真はどちらも一番良い時を永遠に留めることが出来るという点が似ている、
ということなのかな。
三番目の部屋の「うつくしい日々」は父親の蜷川幸雄さんが入院しているころの写真。
実花さんや幸雄さんが写真の中に出てくるわけではないけれど、
病院の建物や街並みの風景の写真から、それを見ているであろう実花さんの存在が感じられる。
さきほどの二つの部屋の色鮮やかさから一変して色彩が抑えめな日常の風景は
自分も目にすることがありそうで一気に親近感が湧いてくる。
モノクロの写真なども挟みつつ、後半の部屋へ。
芸妓舞妓さんたちの「trans-kyoto」
芸能人やスポーツマンなどの肖像写真がたくさん飾られている
「Portraits of the Time」は見ていて楽しかった。
芸能人には疎い私でも「この人知ってる!」という人がたくさん居る。
メイク、服装、ポーズ、背景、小物。全体の色合い。
画面の隅々まで撮る人の神経が張り巡らされていて、
一人の人が表現されている。
選んで、当てはめて組み合わせて。どんだけの取捨選択をするんだろう。
アイデアを考えるところから
撮影までの道のりを考えると気が遠くなりそうだ!
出口近くの部屋の、三つの映像作品を見ていると大勢の中学生がやってきて
怖がったり、面白がったりしてどんどん入れ替わっていった。
各作品が八分近くの作品で、人の邪魔にならぬよう壁を背にして立っていたら
一人の男の子が「きれいですよね」と言って去って行った。
私は上手い返事もできずに「ははっ」と笑って返してしまったが悪気はないのである。
画面の反対にいる私なんて誰も見てないだろうと、かかしになりきっていた
ので「おぬしよくぞワタシを見つけたな!」と言うべきか
作品を見て「何と答えたらいいかすぐには出てこない」
の二つの言葉を飲み込んだゆえの「ははっ」なのである。すまない。
どうか気遣いのできる彼がまた美術館に来て、
恐れずに人に話しかけてくれますように。
2018.6.30(土)~9.9(日)まで