ラスコー3を知ってるかい?
2017/9/3まで
九州国立博物館 | 特別展「世界遺産 ラスコー展 クロマニョン人が見た世界」
正直に、とても正直に言うと、
チラシに載っている実物大の洞窟壁画展示コーナーは思ったより短い。
実物大の展示が延々と続くのだろうと思っていたから短く感じるのかもしれない。
だけど延々と続いたら飽きているだろうし、鑑賞者はまったく我がままである。
実物大の良いところは絵がどんなところにどういう風に描かれているのかが一目瞭然で、洞窟の中に入って探検しているような大人でもちょっとワクワクする体験ができるところだ。
暗くなると線が青く光って浮かび上がるのはロマンティックでもある。
ドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』でもここが使われていたよなぁ、と思い出す方もいるかもしれない。
ラスコーの名はよく聞くけれど、ラスコー2とラスコー3があるのは意外と知られていない気がする。わたしも今回初めて聞いた。
2万年ほど前に描かれたラスコー洞窟の壁画は、1940年にフランスのモンティニャック村の少年たちによって発見された。
穴に落っこちた犬を見て地下に通路があることが分かったのだ。
その後たくさんの観光客が押し寄せて洞窟内の環境が悪化し立ち入り禁止になってしまう。
そこで近くに遺跡を復元しちゃおうというのがラスコー2だ。
念入りなことに、まず洞窟を再現するところから始まる。
展示室に入ってすぐにその様子が展示されているが映像を見ているとまるで映画のセットを造っているようだった。
ラスコー2が手作業による測量や模写での再現で、ラスコー3はデジタル技術を駆使した再現なのだそう。
わたしが見た九博の展示はこのラスコー3に当たる。
実物大の洞窟展示に惹かれて来たものの、一番面白かったのは洞窟の白い模型だったりする。
いくつかに分岐する洞窟を模型にしてそれぞれ眺めてみると
「こんな奥まで!」「こんな狭いところを通って!」「こんな深いところまで!」
入ってクロマニョン人は絵を描いたのか!というのがよく分かる。
自由研究の答えを探しているお子様にとっては残念なお知らせだが、
ラスコー展を見終わっても
「クロマニョン人は何のために絵を描いたんだろう?」という疑問は残る。
暗い洞窟の中、獣脂を灯りにして時にはトナカイの肉を食べながら、
わざわざ絵を描くというのは何だか儀式めいている気がする。
遊びじゃないとしたら狩りが上手くいくように祈りを込めてたくさんの動物の絵を描いたんだろうか。
共同体の人々が何か同じものを信じて何かに祈っていたんだろうか。
絵はあるけれど文字がない2万年前の生活。
クロマニョン人は現代人とも心が通じる気がしてきた。
九博の『ぶろぐるぽ』に参加しています。
(上の二枚の写真をお借りしました)
以下の写真は撮影可能な場所で撮ったものです。