ヨシトのたびかん

主に福岡。ときどき県外の美術館までの小さな旅や展覧会の感想など

濃縮4倍! 原宿 太田記念美術館「青のある暮らし 着物・器・雑貨」

旅行中、充電ケーブルを忘れたことに気が付いた私は原宿の100円ショップに向かいました。ダイソーのある竹下通りは初詣の時の神社の参道か、というくらい人で埋め尽くされています。
ダイソーに入るとあちらを見てもこちらを見ても外国人観光客の方たちばかり。価格が一定で安くてお土産になる商品がある、というのはきっと買いやすいんでしょう。私も外国に行ったらこういうお店に入りそうですもん。

飲み物も手に入れ体力を回復した私は、いったん表参道へ出てわき道に入り太田記念美術館を目指しました。細い路地に入ると今までの喧騒が嘘のようにひっそりとしています。 太田記念美術館は浮世絵で有名な美術館で一度行ってみたいと思っていたのです。ここが太田記念美術館!と感慨にふけりながらお茶を飲む私。

 

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1階と2階の壁際に沿ってぐるりと浮世絵が展示されていて室内はちょっと暗めで落ち着きます。地下には手ぬぐいなどを扱うかまわぬのショップがあります。美術館では夏らしい『青のある暮らし 着物・器・雑貨』が開催中でした。

 

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(カットされたスイカが山盛りなお皿!) 

 
1階は主に浴衣を着た女性たちの展示が。浴衣に青や藍色で大きく描かれた金魚や、カニ、ハマグリ、タコなども。展示数はそう多くはないのでじっくり見ていくと、それぞれの解説にさらりと知らないことが書いてあります。2階は器や雑貨が登場する浮世絵が多く展示されていました。

梨や栗、茄子、金柑を小さく切って水に浮かべて食べている浮世絵があるんですが、茄子は生でデザート感覚で食べていたのか気になるところです。
お猪口を鉢に浮かべて洗う浮世絵があり、別の絵でも同じようにお猪口が鉢に浮かんでいたり。あ、同じ時代なんだなって共通点を見つけてワクワクしました。

植物の絵と名前をたくさん並べた浮世絵も。こういうものからこの絵に描かれているのは○○という植物だ、と分かったりするのでしょうか。

15分くらいあればざっと見られる展示数ですが、解説をじっくり見ると1時間くらいあっという間でした。頭の中の江戸時代の暮らしのイメージが膨らむ展覧会でした。

 

館内の撮影は出来ませんが公式ツイッターの方で展覧会に出品されている作品の写真と一言解説をよく流してくれるので、フォローしていると楽しいです。美術館ではアイコンの虎小石のマスキングテープが買えますよ。

twitter.com

 

夏休みの宿題はギリギリまでやるタイプ? ボルタンスキーの作品と初対面

こんばんは、ヨシトです。

皆さんは夏休みの宿題ってすぐ終わらせる方でしたか?

ギリギリまでしないほうでしたか?

私は好きな科目は早く終わらせて嫌いなものは後回しにして

最終日にヒーヒー言うタイプでした。

今も昔も変わらなさすぎて泣けます。

展覧会に行くのは好きなんですが書くのは苦手なものでして。

でも書かないまま忘れていくのももったいないなぁと思って

毎回ヒーヒー言いながら書くことになるんです。

どこかの誰かが必要な情報になっているといいなと思いつつ、

今日もせっせと小瓶にメッセージを入れてインターネットの大海に放ちます。

 

前回のブログでは7月に行った展覧会のタイトルだけを書いていたので、

どんな展覧会だったかメモを見ながら振り返りたいなと思います。 

2日間で6つの展覧会を回ったので1つずつ、ちびちび行きますぞ。 

 

1日目 六本木で

クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime国立新美術館(2019年9月2日まで)

 

 

実はボルタンスキー、長崎にも来るんです。

長崎県美術館で2019年10月18日(金)~2020年01月05日(日) 

www.nagasaki-museum.jp

 

ではなぜ東京の展覧会でわざわざ見たのか、と聞かれると

拝読している関東のブロガーさんたちがボルタンスキーをこぞって推しているように

思えたからです。何だか意味が分からなそうだし、怖そうなんだけど、

周りがそんなに言うんなら観たほうがいいのでは?と流されたわけです。

 

写真は撮影可能なエリアとそうでないエリアと分かれており、以下の写真は撮影可能な場所で撮っています。

 

大きなスクリーンに映し出されたたくさんの風鈴。澄んだ音が聴こえます。

この壁の向こう側には高い天井を持つ部屋を活かした綺麗だけど

ちょっと怖いような灯りを使った作品がありました。

東京の展覧会での展示の目玉はきっとこの高さを活かした展示方法に

違いないと思いました。(写真はありません)

 

 

たくさんのコートの山。1階のカフェの端の方で設置作業風景の映像が流れていました。かなり大がかり。

 

右のラッパのようなものは風が吹くと音が鳴る仕掛け。沖のクジラに呼びかける道具。

本当にクジラに届いたのか。

 

振り返ってみると綺麗でどことなく怖い。紙一重な作品が多い印象を受けました。

 

一番衝撃的だったのは最初の部屋の咳をするマスクを被った人物の映像。

口からチョコレートのような液体を吐き出し、ひたすら大きな咳をしている。

もう見てられない!と思う頃画面が変わり、椅子に座った人型のサイズの人形に

這っていき、マスクから見える唯一の生身の部分の舌を使って人形を舐める、

という初期の映像の作品が1ヶ月すぎた今でも記憶に残っています。

 

ボルタンスキー展は朝から見るのはおススメしません。

 いつ観たらいいのかと言われると困るのですが、

未知の物に出会う覚悟ができたら、と言っておきましょう。

瀬戸内国際芸術祭2019 3つの島を回って感じたことのまとめ

7月下旬に男木島、女木島、豊島を回った感想としては

海が綺麗、島っていいな、人の生活が垣間見えるところにアートがあるって

いいなぁということでした。

観光とアートがタッグを組むと最強だなぁとつくづく思います。

 

もし小さなお子さんを連れて行くのであれば平坦な道に展示が多い女木島。

小学生くらいで急な坂道も自分で歩けるお子さんと行くなら男木島。

高校生、大学生のお子さんと行くならレンタサイクルを借りて豊島もありかなと

思いました。

 

私一人で行って満足度が高かったのは男木島でしょうか。

小さな島なぶん、展示の多くが同じエリアにあり飲食店も多めだったからです。

また、徒歩で動き回れるため交通機関を使わなくて良いので時間に縛られず

のんびりできるのもありがたいポイントでした。それと、猫が多い。

 

今回旅をしている間中日本人よりも中国圏の観光客が多いのではないかな

と感じていました。豊島美術館ではチケットを持っているかと英語で話しかけられ

「いいえ、持っていません」と日本語でたどたどしく答える私。

 

男木島の交流館のところに台湾や香港からの観光客が多いと

書いてあり、その時はへぇ~と思っていたのですがこの記事を見て納得しました。


瀬戸内国際芸術祭とLCC拡充で高松市内に海外の若者向けゲストハウスが急増中 : ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌
 

 

LCCと芸術祭を紹介する本と中華圏での認知度の高まり、ゲストハウスの増加、

色々絡み合って観光客が増えているようです。

 

旅行会社がインバウンドにガッツリ関わっている記事も。

瀬戸内国際芸術祭2019を契機に 欧米豪から誘客 - インバウンド事例 - JTBのインバウンド

 

それぞれの展示の入り口に中国系の若いスタッフが多かったのは語学力を

必要とされてのことなのかもしれないなぁと思いました。

みんなクーラーがないところでも頑張っていた。

もうちょっと暑さ対策ができるといいなぁと見ていて感じました。

 

訪れる方も迎える方も楽しく、これからも長く続いていく芸術祭になるといいなぁと

思います。

 

夏の島旅【おしまい】 

 

 

瀬戸内国際芸術祭2019秋会期「ひろがる秋」の開催は

9月28日(土)から11月4日(月)まで。

公式ガイドブックを持っていると指定の場所で秋会期版の冊子をもらえますよ。

瀬戸内国際芸術祭2019 夏の島旅 2日目【豊島行き当たりばったり編】旅の終わり

豊島美術館を出た後はバスに乗り、唐櫃岡集会所前のバス停で降ります。

お目当ては島キッチンで昼食を食べることだったのですが、予約をしていないので

入れず。ひとまず先にボルタンスキーの作品を観に、山へ向かいます。

 

山道を20分ほど歩き、脇の細い道を上っていくと

人だかりができている一角がありました。

 

 

皆が見ている方向に目をやると林の中に無数の風鈴が飾られています。

風鈴には個人のフルネームが書いてあるものも。

風が吹くと風鈴が鳴ります。ちょっと怖い気もします。

暑い中、虫にドキドキしながら数分観て、また 20分かけて山を下ります。

 

島旅ドキドキトラップその4:予約が大事 

山から下りて来たものの島キッチンには残念ながら入れませんでした。

近くの飲食店も満席。みんな一体どこで食べているのか不思議でたまりません。

仕方ないのでもしものために持ってきたパン2つをバス停で素早く食べて、

付近の散策を開始します。 

 

 

ここも予約が必要な檸檬ホテル。

宿泊だけでなく見学も予約が必要だそう。

入り口まで行けば外観くらい見えるかなと思って見に行ったら門から先は

道しか見えませんでした。公式サイトでは気になる家の中が見られます。

 

lemonhotel.jp

 

 

青木野枝「空の粒子」貯水タンクを囲むように設置。

 

神社のすぐ横にあり、昔からあったジャングルジムが錆びたようにも見えます。

風景に溶け込んでいる。湧き水にスイカが浸かっています。

 

作品の目の前の清水前バス停周辺の風景。

 

バス停から見た作品側の風景。

 

このバス停から家浦港へ戻り、豊島マルシェでお土産を買って、高速船の切符を

買いに並びます。小豆島のオリーブを使った商品や豊島の塩、豊島レモンのジャムやお菓子など可愛いパッケージに入ったものが並んでいて目移りします。

ガラスに入った冷やし飴や可愛いデザインの麦茶など、飲み物やオリーブのアイスなどもありました。

 

そうして、高松港へ戻ってきました。

 

大巻伸嗣「Liminal Air -core-」 

大きな門番のような見送る人のような。柱の一部は鏡面になっていて周囲の風景が映りこみます。さっきまで海の上に居たのが嘘みたいだなぁと思いながらフェリーを眺めました。

 

島旅ドキドキトラップまとめ

大きな島は飲食店など予約が必要。

バスは乗れないこともあり、歩いていくにはエリアが離れているのでバスに乗り遅れた場合のプランも用意しておくといいなぁと思いました。

観れない展示もあるので、事前にサイトや看板で確認しておくと無駄足にならなくて良さそうです。

 

高松駅から岡山へ。

快速マリンライナーから島を眺めながら瀬戸内の旅が終わりました。

 

 

 

瀬戸内国際芸術祭2019 夏の島旅 2日目 【豊島行き当たりばったり編】ワンルーム洞くつ、豊島美術館へ

(ここに来るまでに色々あったのですがここからでも読めます)

島旅ドキドキトラップその3:豊島美術館には入場制限がある

 

敷地の入り口にスタッフの方がいて次の時間帯に入れる整理券を配っています。

私がもらったのはなんと1時間後!

1時間も外で待つのか、それともここから徒歩で15分の唐櫃浜へ向かうのか。

悩みました。唐櫃浜に行くだけで往復30分、展示があるところに行こうとするとさらに15分。そして美術館の敷地の入り口で唐櫃浜の展示が故障で入れないことが判明。

最初のバスに乗れなくて良かったと思い直して美術館の周りでのんびりすることにしました。

 

 美術館の周りは棚田の散策ルートがあり、ウロウロすることができます。

写真右上の白い建物が豊島美術館で、穴が開いている建物がメインの建物、その左横のドーム状の建物がミュージアムショップ兼カフェスペースで、一番手前の白いところは入場待ちの人のためのテントです。スマホの限界で望遠がこれ以上きかなくて見えないですね。なんとなく感じてください。ドンシンク、フィール。

 

外観は撮影可能ですが、メインの建物「母型」の内部の写真は撮れません。

行ってみて驚くのが一番かなぁと思うのですが

ネタバレOKな方はずんずん下にスクロールして下さい。

 

 


新建築2011年1月号 WEB連動企画 豊島美術館

 

指定の時間に入り口に行き、チケットを購入し、敷地内をぐるっと歩いて

美術館のメインの建物へ。入る前に靴を脱ぎ、スマホやカメラはしまいます。

 

細い通路を抜け、目の前にパッと広がるのは

学校の体育館のような広さのワンルーム洞窟。

白い洞窟内には50人以上は人が居るのではないでしょうか。

寝転ぶ人、立ち尽くす人、天井に開いた穴の先に見える木や空を見上げる人。

人の多さよりも空間が広いため、息苦しさは感じません。 

 

床や壁はザラザラすぎずツルツルすぎずの白っぽいグレーのコンクリート。

ところどころに1cmあるかないかの小さな穴が開いています。

じっと見ているとそこから水がチョロチョロと湧き出てきます。

玉のようになってそのままとどまるものや、

別の穴から湧いてきた水と合流して糸のような細い川になるものも。

あるかないか分からぬような微細な傾斜に従って

緩やかに水の流れが移動するのを見ていると時間が経つのを忘れてしまいます。

 

 

せっかくなので周りの人のまねをしてゴロンとあお向けになってボーっと

してみました。ちなみに美術館の床に寝るのは初めてです。

風で木の葉や枝が擦れる音、人のささやく声、セミの鳴き声。

名前も知らない人と空間と時間を共有すること、今日この日のこの時間の私たち。

自分を含め、みんなが作品の一部のような気がしてきます。

ここでしか味わえないものを求めてみんなやって来るんだろうなぁ。

 

このままずっとゴロゴロしていたい気持ちを抑えて、

ミュージアムショップでお土産を買って美術館をでました。

豊島の旅はもう少し続きます。

 

benesse-artsite.jp

 

 

瀬戸内国際芸術祭2019期間中はオンラインチケットが販売されています。

時間に余裕をもって行くのが良さそうです。

瀬戸内国際芸術祭2019 夏の島旅 2日目【豊島行き当たりばったり編】豊島美術館に行くまで

旅の2日目は豊島と書いて「てしま」と読む島に行ってきました。

豊島は前日に訪れた男木島、女木島と比べると大きな島。

島を観光するめやすとして小さな島は1日で2つ、

大きな島は1日で1つと言われていまして、

まぁ、面積が広いからだろうと思っていたのですがそれだけじゃなかったので

ヨシトの珍道中に2日目もどうぞお付き合いください。

 

豊島上陸の前に、まずは高松市内のホテルから高松港に向かいます。

高松築港駅の近くのジュリアン・オピーの作品。「Banker,Nurse,Detective,Lawyer」

今回の芸術祭とは関係がないのですが、あったら撮ってしまいますよね。

 

すっかり日常になじんでいるオピーの作品。

通勤する人たちが足早に歩いていく横で写真を撮る私。石の厚みがすごい!

 

島旅ドキドキトラップその1:フェリーではなく、高速船。

島に行く船の種類は2通りあり、船内が広く運賃も安い大型のフェリーと、

乗船できる人数が少ないが速い、お値段はちょっと高めの高速船があります。

高速船とフェリーのどちらに乗るか選べる島もあれば、

島によってはどちらかのみの運航で選択肢がない場合もあります。

ちなみに前日に行った男木島、女木島、高松港のルートはフェリー。

そして今日行く豊島ー高松港のルートは高速船のみ。

 

ということでオピーの写真をのんびり撮っている場合ではないのです。

高松港のチケット売り場に並び、まずはチケットを購入するための整理券を

もらい、そのままの流れでチケット売り場でチケットを購入します。

豊島フェリーでは、高松豊島間は70名が乗船できる高速船で乗船時間は30分ほど。

乗れてよかった。

 

島旅ドキドキトラップその2:バス

豊島の家浦港に着いたぞ!バスに乗るぞと思ったのもつかの間、港のお手洗いは綺麗なものの2つしかないので混んでまして、島の東にある唐櫃港行きのマイクロバスには定員オーバーで乗れず。20分ほど次のバスを待ちます。バスは1回乗るごとに大人200円。両替機はないので小銭を多めに持っていくのがお勧めです。

 

こんなに簡単に予定って狂うものなんだなぁ。

次に来たバスは大型バスで、行先は豊島美術館のみ。

こうなったらとりあえず行くしかありません。

たくさんの人を乗せて、10分ほどで美術館前の坂に到着。

 

バイクで走り抜けたい、そんな気持ちにさせる緩やかな坂の上に広がる空と穏やかな海。あっという間にあちこちで写真撮影大会が始まります。インスタスポットです。

 カーブの右手を下ったところに豊島美術館の入り口があります。

 

瀬戸内国際芸術祭2019 夏の島旅 1日目の終わりに 高松市美術館「宮永愛子展 漕法」

(夏の島旅の記事として続いていますが、この記事だけでも読めます)

 

女木島の最終フェリーに乗るのを待っていると、

仕事を終えた大勢のスタッフの方が続々と集まってきました。

 

透明なトートバックを持っている人、大きなごみ袋を持っている人。

透明なカバンには展示の受付をするにあたって必要なグッズが

蚊取り線香なども)入っているようす。

 

芸術祭に来る外国人観光客は台湾や香港の方が多いからか、

受付場所にいるスタッフは若い中国系のスタッフの方が多く、

日本語も分かる留学生がボランティアをやっているようでした。

 

 

 

さらば女木島。17時台で高松行の最終フェリーが出発。

 

 

高松に戻った私はホテルに荷物を置き、18時ごろまた外出しました。

高松港から徒歩だと20~25分、高松駅からだと15分程度で

高松市美術館に到着。

 

外観はわりと閉鎖的に見えますが、中に入ると開放感溢れるつくりになっています。

1階の道路沿いの窓に面したカフェやショップ、

天井からの光が柔らかく降り注ぐ大きな吹き抜けのあるホール。

長いスロープで中2階、2階へ進むとお目当ての特別展の入り口です。

 

 

なんでこの美術館を知ったかというと、

瀬戸内国際芸術祭2019の公式ガイドブックを見ていると気になる展示が

ありましてですね。

閉館は19時と書いてあったので入場時間内になんとか滑り込み、

特別展と常設展を観てきました。

瀬戸内国際芸術祭2019の作品鑑賞パスポートの提示で2割引きになりますので

チケットを購入する時は見せるとお得です。

 

宮永愛子さんという方を存じ上げなかったのですが、気泡の入ったスーツケースの

写真が不思議で近くで見てみたいなぁと思ったのです。

特別展の展示室の一部は写真撮影可能です。

 

 「手紙 / Letter」

 

 

美術館で頂いたチラシには「常温で昇華するナフタリンなどを素材に」と書いてあるけど、防虫剤のイメージしかないのでこんなことができるんだ~!という驚き。

 

 

氷がそのまま絵になって額縁に入れられているような作品も。

閉館間際だったのでお客さんも少なく、閉館時間に焦りながら

でもゆったりと観ることができました。

 

「life」

 

 

写真は撮れませんが、山の上流を流れていそうな川の河原を石で表したような

作品も。チラシによるとたくさんの石、サヌカイトは

「かつては海だった山頂近くで採れたかけら」 だそう。

この部屋で耳を澄ましていると何か音が聴こえて、となりの部屋に進むと

吊り下げられた石をフェルトのボールで叩くことが出来ます。

思ったよりも高く澄んだ音に驚く。

 

私が聴いた音はちょっと先を行く誰かの音で、私が鳴らした音は後から来る人が

聴いているかもしれない。けれど河原の部屋とこの部屋は壁に隔てられているので、

自分のこの行為が誰かに影響を及ぼしているのを直接見ることはできないんだなぁ。

などとぼんやり考えながら特別展を出て、常設展をダッシュで見て回りました。

 

特別展『宮永愛子展 漕法』は2019年9月1日(日)まで。

 

「カメラはお持ちになりまして?」 『更紗 生命の花咲く布』展 九州国立博物館4階

「4階の展示室に行くときはマナーモードにしたスマートフォンを持っていくべし」

このブログの管理人のヨシトはそう言って息絶えた。胸がキュンとしすぎたのだ。

 

ひとつ前の記事で九州国立博物館の開館と同時に入館したヨシトだったが

開館前から並んでいた百人が一気に足利展に押し寄せることを考えて、

いつもは後回しにする4階の文化交流展示室へと向かった。

 

読みは当たった。朝イチなのでさすがに空いている。

ここは九博の常設展。大きなフロアを囲むようにテーマごとに分かれた

小さな部屋がいくつもある。

 

ヨシトのお目当は九博が所蔵している更紗展だった。

その場で知ったのだが、更紗展はフラッシュを使用しなければ

なんと写真撮影OKだったのだ。

入る前に知りたかったが時すでに遅し。

スマートフォンはコインロッカーに預けてしまっている。

ヨシトにできることはブログにメッセージを残すのみである。

(ここを見ているかもしれない九博のスタッフ様、

どうか撮影OKという文字を3階の更紗展のポスターに張り付けませう。

文化交流展示室に入る前が肝心です)

 

更紗とは何かというとインドで生まれた模様染めの布なのだそう。

インドから交易で世界各地に広まり、世界各地でそれぞれの更紗が生まれ

地域や国ごとで柄も変わってくる、というわけで九博が集めた名品の更紗が

文化交流展示室の第9室に展示されている。

 

じゅうたんのように大きく広げられた布には草花や幾何学模様、

人や動物など様々な柄がみっしりと描かれているのにあまり圧迫感がない。

一体どういうことだろう。

茜で染色したという布は赤にグレーや黒を混ぜたような暗めの赤で

全体に柄があっても色合いが落ち着いていてずっと眺めていられるほど目に優しい。

つまり、家のインテリアに欲しい!

インテリアショップや雑貨店に行ってテンションが上がるタイプの人には

ヤバイ展覧会である。まず深呼吸が必要。

落ち着け、落ち着くのだ、買えないぞ。

 

前期の展示の「クリシュナ物語図金更紗(くりしゅなものがたりずきんさらさ)」は

人も動物も細かく描かれている華やかな布。

牛の表情が可愛い。下まつげが長い!

図録には牛のアップの写真がないので忘れないようにじっと見たが描けるわけもなく。

漫画やアニメに出てきそうな目の描かれ方をしているのが印象的。

 

朝と夜、一枚で二役の

花樹鳥文様更紗腰衣(かじゅちょうもんさらさこしい)」(前期)

布の片側の端が赤、反対側の端が紺色に染められている。

端が赤の面には花のような柄、紺色の面には孔雀が描かれていて大変

お洒落でございまする。

 

会期は 

前期2019年9月8日(日)まで。

後期2019年9月10日(火)~10月20日(日)まで。

前期と後期で展示替えあり。一部二週間で展示替えあり。

 

「あなた様、カメラはお持ちになりまして?」

どうか私の二の舞いになりませぬように。

10月1日(火)から始まる「三国志」展に行かれる方は後期が20日ほど重なるので

特別展の前後に4階まで行ってみると更にテンションが上がるかもしれません。

 

 

 

歴史が苦手でも楽しめる工夫アリ。 九州国立博物館「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」展

室町将軍って誰だっけ……足利尊氏(初代)義満(三代)義政(八代)と

言われてやっと思い出すような歴史に疎い私でもこの展覧会は楽しめる

のだろうか。暑いし休みの日は涼しい家の中でゴロゴロしていたいしなぁ、

なんてことを考えていたら開催から早一ヶ月が経とうとしておりました。

 

そろそろ行かねばなぁとぼんやり考えていたところ、

九州国立博物館Twitterのフォロワー数が一万人を超えた記念に

八月十三日の開館時、先着百名様に九博グッズを配る催しがあると

いうツイートを見かけたので「もうこの日に行くしかない!」と行ってきました。

 

頂いたのはこちら。

シャープペンシルとしおりとキーホルダー、ティッシュ入りケース!

 

金曜と土曜は午後八時まで開館しているって何となく知っていたのですが

夏休みや冬休みなど限られた時だけだと思っていました。

平成二十九年の四月末から毎週行われていたんですね! びっくり!

 

九州国立博物館で開催中の特別展「室町将軍 戦乱と美の足利十五代

まずはCMを見るのが手っ取り早いのでどうぞ!

(説明下手なブロガーにも優しい取り組みありがとうございます!) 

 


特別展:室町将軍 - 戦乱と美の足利十五代 - 60秒CM

 

興味湧いてきましたか?

むむむ、そうですか。ではこれでどうだ!

(以下の展示室内の写真は九州国立博物館ぶろぐるぽの提供を受けています)

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入ってすぐの大きなパネルには将軍のイラストと紹介文が。どんな人なのか何となくつかめます。

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中央のエリアからなら撮影可能。

十三人の足利将軍にぐるっと囲まれるのは滅多にない体験になるかと。

近寄ってそれぞれの像を見ていくとそれぞれが全然違う顔立ちをしています。

 

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香炉などの座敷飾りをどうやって飾り付けるか書いた本もあったそう。


 

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青磁花茶碗 銘 馬蝗絆(せいじりんかちゃわん ばこうはん)」

割れた碗の代わりを当時の中国へ求めたところ、これより優れたものはないということで修理されて戻ってきたもの。大きなかすがいがイナゴのように見えるのでこんな名前に。日本と中国を一往復半していることを考えると、もの以上に価値も上がりそう。

 

刀剣乱舞には詳しくないものの「太刀 銘 長光」も見ました。

六百貫の値打ちがあることと六百巻の大般若経をかけて大般若長光と呼ばれる。

って……シャレなのか~い!

刃文は小刻みな波のような形をして、刀身は白くほっそりとしているように見えました。人の姿になるとこんな感じなのかもしれない。ほうほう。

一階のエントランスの隅にひっそりいました。

 

足利尊氏太宰府にも一か月滞在していたと知り、

ちょっとだけ歴史が身近になった気がしました。

 

おまけ

太宰府天満宮の境内、手水舎の近くにたくさんの風鈴のコーナーが出来ていました。

大勢の人がいますが上だけ見上げればインスタ映えスポットです。

クスノキの木陰が涼し気。

 

九州国立博物館ぶろぐるぽに参加しています。

瀬戸内国際芸術祭2019 夏の島旅 1日目 【女木島とことこ編】

男木島からフェリーに乗り20分ほどで女木島に到着。

女木島は別名、鬼ヶ島。

島の山頂に大きな洞窟があるためそう呼ばれたのだとか。

 

木村崇人「カモメの駐車場」がお出迎え。風が吹くとクルクル回ります。 

 

フェリーの到着に合わせて鬼ヶ島大洞窟行きのバスが出ているため、

島に着いたら早速バスに乗り込みます。

 

洞窟の内部はひんやりと涼しい。

中にはオニノコプロダクション「オニノコ瓦プロジェクト」

公式ガイドブックには”県内の中学生が制作展示した鬼瓦の作品に手を加え展示替え”と

書かれています。よく見ると色んな鬼がいますね。

 

鬼ヶ島大洞窟を出て上を見上げると、崖一面にタモリさんが喜びそうな柱状節理という岩石の柱が。マグマが冷えて固まる時に縮んでこんな風に六角形などの柱状になるそう。

 

島のいたるところに居る鬼の石像。表情には何種類かあるようです。

むん!

 

 

禿鷹墳上「20世紀の回想」船のようなピアノ。

触っていいのか分からなかったけど触ってよかったのかも?

椅子に座って弾く姿で写真を撮っている方もいました。

強い潮風に帆がバタバタと音を立てる。

 

山側の方に歩いて。杉浦康益「段々の風」

段々畑の上の方にある作品。

この場所からは高松方面が見えます。

島を歩いていても島にいるってあまり感じないのですが、

島の近くに別の陸地があると、ここは島なんだなと感じます。

日本も大きな島国だけど。

他者の存在があるから、自分の存在の輪郭に気付くようなそんな感じ。

 

遭遇してしまったらどうしようもなさそうだけど、どうすれば。

 

山から下りてまた別の場所へ。

地元の特産品や年中行事が可愛い絵柄で描いてある。

 

一見すると倉庫みたいなところ。

依田洋一朗「ISLAND THEATRE MEGI 女木島名画座

写真ではなく、絵でポスターが再現されています。

階段を上った先には映画館が。チャップリンの映画をやっていました。

椅子に座ってしばし休憩。涼しい!

音がないぶん、動作で全部分かるので言葉がなくても楽しめました。

 

休校中の女木小学校。

 

大竹伸朗「女根/めこん」

大きな椰子の濃い緑に対抗するような金属の赤。

これくらいしないと自然に負けてしまうのかも。大きさと色彩に圧倒されます。

タイトルにちょっとドキドキしますけど、そういう意味ではないのかもしれず、そういう意味なのかもしれない。女木島の根っこ、魂みたいなものなのかな。

学生がいない間に時間が流れて植物が大繁茂したような、ちょっと先の未来を感じる。

 

小学校から海岸の方に歩いて

「島の中の小さなお店」プロジェクトの入っているロの字型の建物へ。

 

レアンロドロ・エルリッヒ「ランドリー」

洗濯ものの映像が流れているコインランドリー。

向かい側には空っぽの本物のコインランドリーが。

 

スイッチを押すと今日のラッキーアイテムを教えてくれる。

(たぶん長谷川仁さんの「的屋」であっているかと思うのですがはっきり分からなくてすみません)

 

平尾成志×瀬ト内工芸ズ。

「BONSAI deepening roots」

意外とたくさんの盆栽が見られて楽しい場所でした。帽子みたいな盆栽!

 

ミニ盆栽。たくさん並ぶと可愛いさが倍増。

 

 

KOURYOU 「家船」えぶね。

漁業を営み、船で海上生活を送る家族が暮らした家船

家船のその後どうなったかをテーマに部屋の中も外も色々あります。

お布団の近くを土足で通った時はドキドキしました。

 

女木島のモアイに別れを告げて、高松港へ戻ります。