ヨシトのたびかん

主に福岡。ときどき県外の美術館までの小さな旅や展覧会の感想など

夏の熊本で。蜷川実花展

 

先月に引き続き、今月もまた熊本へ。

アーケード内のセールを眺めて喫茶店で腹ごしらえをした後、

熊本現代美術館の蜷川実花展を見てきました。

 

 

会場の入り口で撮影可能な展示作品の説明を受け、いざ中へ。

 

壁も床も桜。額に入れられて飾られている写真も桜の部屋。

最初の部屋からテンションが上がります。

 

「桜」

 

 

次の部屋の壁にはたくさんの花の写真が!

 

 

「永遠の花」

 

もらったプリントを読んだところ、これはぜんぶ造花のよう。

鮮やかできれいで花が本物かどうかなんていう疑問がまったく湧かなかった!

造花と写真はどちらも一番良い時を永遠に留めることが出来るという点が似ている、

ということなのかな。

 

 

 

三番目の部屋の「うつくしい日々」は父親の蜷川幸雄さんが入院しているころの写真。

実花さんや幸雄さんが写真の中に出てくるわけではないけれど、

病院の建物や街並みの風景の写真から、それを見ているであろう実花さんの存在が感じられる。

 

さきほどの二つの部屋の色鮮やかさから一変して色彩が抑えめな日常の風景は

自分も目にすることがありそうで一気に親近感が湧いてくる。

 

モノクロの写真なども挟みつつ、後半の部屋へ。

 

芸妓舞妓さんたちの「trans-kyoto」

芸能人やスポーツマンなどの肖像写真がたくさん飾られている

「Portraits of the Time」は見ていて楽しかった。

芸能人には疎い私でも「この人知ってる!」という人がたくさん居る。

 

メイク、服装、ポーズ、背景、小物。全体の色合い。

画面の隅々まで撮る人の神経が張り巡らされていて、

一人の人が表現されている。

選んで、当てはめて組み合わせて。どんだけの取捨選択をするんだろう。

イデアを考えるところから

撮影までの道のりを考えると気が遠くなりそうだ!

 

 

出口近くの部屋の、三つの映像作品を見ていると大勢の中学生がやってきて

怖がったり、面白がったりしてどんどん入れ替わっていった。

 

各作品が八分近くの作品で、人の邪魔にならぬよう壁を背にして立っていたら

一人の男の子が「きれいですよね」と言って去って行った。

私は上手い返事もできずに「ははっ」と笑って返してしまったが悪気はないのである。

 

画面の反対にいる私なんて誰も見てないだろうと、かかしになりきっていた

ので「おぬしよくぞワタシを見つけたな!」と言うべきか

作品を見て「何と答えたらいいかすぐには出てこない」

の二つの言葉を飲み込んだゆえの「ははっ」なのである。すまない。

 

どうか気遣いのできる彼がまた美術館に来て、

恐れずに人に話しかけてくれますように。

 

 

 

2018.6.30(土)~9.9(日)まで

蜷川実花展 -虚構と現実の間に- | 熊本市現代美術館 CAMK