あれもこれも気になる木『木×仏像』展
天王寺駅を降りて大きな広場をずんずん進むと目の前に動物園、右手に入ると美術館への道が見える。美術館前からは大阪のシンボルがお出迎え!
大阪市立美術館では特別展の『木×仏像 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏1000年』が
開催中です。2017年6/4(日)まで。
会場には昨日見た快慶の仏像より前の時代の飛鳥、奈良、平安を中心に
鎌倉から江戸時代までの仏像が展示されていました。
(昭和の仏像は標本として彫られた二体ほど)。
奈良に居た快慶ももしかしてこういう仏像を見る機会があったのかな
と思うとワクワクします。
自分が彫った仏像が他の人に神様として崇められるのって
どんな気分だったんだろう?
会場には木材に触れるコーナーもあって、
重さや色、手触りを楽しむことができました。
意外だったのが木材の分類。
クス・ケヤキ・サクラなどの広葉樹。硬い・・・ハードウッド。
ヒノキ・スギ・カヤなどの針葉樹。柔らかい・・・ソフトウッド
針葉樹が柔らかい、というのは驚きでした。
スギの割りばしは聞くけどクスの割りばしは聞かないもんなぁ。
飛鳥時代はクスで作られた仏像が多く、鑑真についてきた工匠たちによって
日本で手に入りやすく彫りやすいカヤやヒノキを使った仏像が広まっていったそう。
作るって素材を手に入れるとこからなんだなぁ。
『異国の地で仏像に合った木材を探せ』なんて一つのドラマが生まれそうです。
ビャクダンは日本にないのでヒノキやサクラ、カヤを使った代用壇像などもありました。
おススメは「木造 蔵王権現立像」
三体の小さな像が片足だけで立っている、
なんともリズミカルな像です。
円空の「木造 秋葉権現三尊像」はキツネの上に立つ鳥の顔のような三体の像。
円空の像は他の像のように細かく彫られていないので
民芸品売り場においてそうな置物に見えます。
色々削ぎ落しても神様に見える説得力があるのが不思議。
円空の中に神様はこんな感じ!というイメージがあってそれが
にじみでているのかな?
ポスターの「宝誌和尚立像」は一木造りで
キャプションに「肩幅が狭い」と書いてあって
前回顔ばかり見ていたことに気づかされました。
たしかに肩幅が狭い!
残念だったのは気軽に買える特別展のポストカードがなかったことでしょうか。
カタログはあるので気に入ったら買うといいかも。
2階のコレクション展は特別展のチケットで入れます。
ネズミやタヌキの絵もあってモフモフしたくなりました。
宝石のようにキラキラと輝くシャンデリアと同じ目線になる2階のフロアは
とっても魅力的なのでぜひご体感あれ!
ちょろっと元興寺、通天閣の話など
初夏の奈良へ『快慶』展
初夏の奈良は子供たちと楠の香りでいっぱいでした。
残業フィーバーの中、たまたま休みが取れたので
疲れた体を引きずって伊丹空港に降り立ち、高速バスに乗ること約1時間で奈良へ!
今年は慶派イヤーと呼ばれているらしく、秋に東京で運慶展、今の時期は奈良で
快慶展が開催中なのです。
社会科見学の中学生が駅へ向かって走る走る。
国立博物館の特別展に入ったのは平日の10時前でしたが、
ツアーで来たらしい60代くらいの観光客の団体や、講師に連れられた大学生たちで
もうすでににぎわっています。
『快慶 日本人を魅了した仏のかたち』
快慶の仏像を真似して後世多くの阿弥陀仏が造られていったそうで、
なんだか見ていて安心感のあるのはきっとそんなところから来ているんでしょうね。
お仏壇に飾られている仏像ってこんな感じだわ~。
仏像自体も良かったのですが、他の展覧会で見る仏像よりも台座の凝ったものが
多い気がしました。よく見る蓮の花びらのようなものだけではなく、
波の形や雲の形をしたものもありました。
わたしのお気に入りは西遊記の沙悟浄のモデルになったという『深沙大将立像』。
和歌山の金剛峯寺の仏像が展示されています。
(詳しくて分かりやすい説明!)
骸骨の首飾りや像の顔を模した半ズボンなど、おとなしい外観の阿弥陀仏が多い中、
振り切れてる感じがして面白かった。
会場でも見られますが、快慶とその時代のことが知りたかったらこの動画。
とても分かりやすい動画なのでおススメ。
運慶と快慶って兄弟ではないんだ!という点と、正当な後継者の運慶と
外からやってきた快慶。
同じ慶派でどう影響しあったんだろうと思うと想像が膨らみます。
運慶のことも気になってきたので
秋は東京へ行きたいぞ~。
個性的な仏像に会いに『~仏の国の輝き~タイ』
タイの仏像、
以前九博で大ベトナム展が行われたとき、
展示品に優しい環境にするため、
(たいして変わってなかったらゴメンなさい)
結界石。砂岩のキラキラしたのが分かりやすい。やはり砂岩の仏像が多いのかと思いきや。
砂岩の像も多いが、立派だな!と思うもの
青銅で出来た像が多かった。
背中側も手抜きなし!
『ナーガ上の仏陀坐像』
クメール文化の影響を受けたという細かい彫刻の表現は砂岩よりも
それとも砂岩よりも青銅が採れやすい土地だったりするのかな?
タイは暑いイメージがあるけれど、
会場内には一ヶ所だけ写真が撮れるコーナーがある。
彫刻が施された数メートルはありそうな高さのある大きな扉で、
この大扉は撮影が可能で、念のため
撮影オーケーの看板を確かめてスマホを構えたものの、
「シャッター音を鳴らしたくて鳴らしたわけじゃないし、
なんて言葉が日本語以外で出てこなくて泣ける。
(
旅の恥はさておき。
日本にはあまり居ないタイプだよなぁと思うのがウォーキングブッ
飾りがジャラジャラのブッダ。
面長の顔に笑みを浮かべ、
スキップしそうな雰囲気がある。
『仏陀遊行像』
後者は一見するとレースを身にまとっているよう。
レースの穴のような無数の小さなくぼみには宝石やガラスがはめ込
さぞ華やかだったんだろうなと思われる。
『宝冠仏陀坐像』
ぶろぐるぽに参加しています。
画像は2点以外、九州国立博物館のぶろぐるぽよりお借りしています。
初夏の爽やかさとタイの仏像は相性が良いかも。
キスするくらいに近くで『ホキ美術館名品展』
4月末、いつものようにぼんやりと通勤していると一枚のポスターが目に入ってきました。
『ホキ美術館名品展』2017年3/29(水)~5/14(日)
ホキ美術館は千葉県にある世界初の写実絵画専門の美術館で、いつか行ってみたいけれどなかなか行く機会がない美術館の一つです。
そこの名品が佐賀県に来てる、ですと?
しかももう会期が終わりそう。
これは行かねば!
佐賀県立美術館のすぐ隣にある博物館内のTRESというお洒落かつ地元の食材が食べられるカフェでランチを食べてからいざ観覧。
会場には写真と見まごう数々の作品がありました。
顔を近づけても筆跡が分からないように描かれている絵から、なんとか絵であることの
証明を見つけようと必死に細かい部分を凝視しました。
ソファーの上で眠る女性にカーテン越しの淡い光。窓際に置かれたビー玉。女性が着ているブラウスとスカートは触った時の質感が想像できるくらい細かく描かれています。
島村信之さんの女性を描いた作品は人物、背景、小物、光の加減のバランスが良くて見ていて安定感がありました。
会場を見渡すと人物以外に植物、風景、動物など色々な題材があって、「どう描くか」の後は「何を選ぶか」がその画家の個性になるんだなぁといつも以上に感じました。
石黒賢一郎さんの『ア○○的な』は、エヴァのアスカのコスプレをしたような少女が描かれています。黒髪の女の子の髪の重なり具合が細かくてまじまじと見ました。
会場内の声を聴いていると、風景よりも人物画を見て「写真みたい!」と驚嘆している人が多くてわたしもその一人なのですが、いつも見慣れているからこそ違和感にも気付くし、絵の違和感のなさにも驚けるんだろうなぁ。
ゴールデンウィークにどこに行くか迷ったら、展覧会もありかもしれません。
美術館の周りはクスノキが青々としていて気持ち良かったです。
サガテレビ | Web Station|ホキ美術館名品展 佐賀県立美術館で開催
箱根の交通機関リンク集
箱根で利用した交通機関のリンク集をば。
箱根は乗り物王国でした。
箱根登山電車 箱根登山ケーブルカー 箱根湯本~強羅、強羅~早雲山
箱根ロープウェイ 早雲山~桃源台(早雲山~大涌谷は4月14日まで設備改造工事のため運休中。代行バスあり。)
観光施設めぐりバス「スカイライト」|箱根登山バス(箱根美術館~ラリック美術館)
伊豆箱根バスTOP |伊豆箱根バス(箱根湯本~箱根園)
特急ロマンスカー|小田急電鉄(新宿~箱根湯本)
箱根 駒ヶ岳の楽しみ方|箱根 駒ヶ岳ロープウェー:鑑賞する|箱根園
(箱根園~箱根駒ヶ岳山頂)
箱根 芦ノ湖遊覧船 |箱根 芦ノ湖遊覧船 (湖尻~箱根園)
利用はしていないけど見かけたので。
芦ノ湖遊覧船と海賊船はルートが違うので目的地によって
乗り分けると良いかも。
箱根 乗り物と人
バスの旅
旅先でのバスは楽しい。
電車よりも周りの景色が楽しめるし、
だけど今回のバスは違った。
「ポーラ美術館に行かれますか?」
乗る時に尋ねられたのは美術館が今は閉館しているから、
ラリック美術館です、と答えて一番前の左側の席に座る。
観光施設を巡るバスなので、道の途中の観光案内や
目的地に着くたびに施設の紹介や入口の場所なども知らせてくれる
箱根は山道なのでカーブが多く「
バス停に人がいたら「どこに行かれますか?」と必ず声をかける。
外国の方ならば「次のバスです」と英語で答えつつ、
わたしがラリック美術館で降りると「
「
帰宅途中の地元の中学生に運転士がピッと手を上げて挨拶すると
男
箱根ロープウェイ
大涌谷で温泉卵を買った家族と一つのゴンドラに乗ることになった。
わたしはゴンドラの前方。3人家族は後方で温泉卵を食べている。
静岡にいる大学生の息子と新潟から出てきた両親が一緒に旅行をしているらしい。
夜の間によくこれだけ積もったなぁと思っていたら、
新潟の母は「降ってもこのくらいなのね」
と可愛いものをみるかのように笑っていた。
芦ノ湖遊覧船と駒ケ岳ロープウェイ
昨日の雪は陽射しを浴びて雨のようにしとしとと、
芦ノ湖に降り立つと、
写真で見ると湖と富士山が一緒に写っていたりするから、
ロープウェイの桃源台駅から十分ほど歩くと芦ノ湖遊覧船の湖尻港
アメリカからの団体のお客さんと一緒にフェリーに乗り込む。
『ここには誰か座ってる?』と英語で聞かれたので『いいえ』
横の席に老夫婦が腰掛けた。
出航まで何もすることがないので、何か会話せねば、
アナウンスは日本語の後に英語で案内があり、
フェリーを降り、
案内係の女性の日本語は観光客の声にかき消され、
外国語のアナウンスがあったら、
山頂にはまだ雪が残っていた。眼下の風景は雲に覆われ、
ぬかるむ丘を登った先に神社があり、
引き戸を開けると中には神主さんがいた。
お参りをしたあと、丘の端から雲に覆われた富士山を見る。
ロープウェイで麓に降りた後は箱根園から箱根湯本までバスに乗っ
こちらのバスは昨日のバスと違って外観も中運転士さんもごく普通
湯本に着いて駅の近くの土産物屋をブラブラして、
一泊二日の箱根旅・前編
今回の旅のお品書きはこんな感じです。
いつも目的地がたっぷりで詰め込みすぎなわたしにしては
行くところが少ないような?
いいえ大丈夫。今回も移動たっぷりの旅になりました。
それでは行ってみましょう箱根旅!
まずは登山電車で箱根湯本から強羅まで。
スイッチバック初体験にテンションが上がるも
意外とフツーで、もっとガシャガシャガッタン!と音がしたり
振動があったりするのかなぁと思っていたらそんなことはありませんでした。
そもそもスイッチバックとは
『列車が急な斜面を、前後の向きを交互に変えてZ字形に上り下りすること』
なんだそう。
駅に着いたと思ったら進行方向が逆になって電車が進むのが新鮮でした。
三月は卒業旅行のシーズンのせいか平日でも人が多く、
すし詰めの二三歩手前の車両の中からはあまり景色が見えませんでした。
それでも谷の急カーブに沿った運転などは今たしかに曲がっているぞ・・・!という
振動を体で感じることが出来て面白かったです。
昼頃に強羅駅に着いたのでまずは「豆腐かつ煮」を食べてみたいなぁ~と
「田むら銀かつ亭」へ。
長蛇の列に怖気づいたわたしは目の前にある系列店の「銀かつ工房」へ。
もち豚を米油で揚げた「銀かつサンド」を頂きました。
腹ごしらえを済ませた後は強羅駅から箱根登山ケーブルカーに乗って公園上駅へ。
駅からすぐの坂に面して建てられた箱根美術館へ。
(こちらは受付のある建物。この先にお庭と展示棟があります)
『うさぎの埴輪がある美術館』という情報につられてやってきましたが、
うさぎも良かったけれど、コレクションのやきものの展示がとても良くて長居しました。須恵器の青灰色がなんとも綺麗でした。
コレクションの一部はWeb上でも見られるのですが、自然光の入る室内の中のやきものの色や質感は実際に見た方が綺麗でした。中部方面のやきものがまとまって見られるのは遠くから来た者にとってありがたい。
大きな額縁のような窓から見える箱根の山々にかかる雲は動く絵のようでした。
箱根ラリック美術館では平成13年まで実際に使用されていたオリエント急行の車両がカフェになっています。
解説とお茶付きのセットがあると聞いて次の回を早速予約。
(予約は現地でしかできないのです)。
前の回は満席だったそうですが、今回はまさかの解説員の女性わたしの一対一。
シフォンケーキや紅茶を頂きながら話を聞いて、食べ終わったら時間がくるまで撮影タイム!
テーブルと椅子は意外と軽いらしく、
(艶消しのフロステッド加工)
お腹を満たしたあとはいざ、ラリック美術館の展示室へ。
ジュエリー作家からガラス工芸家になっていったラリックの足跡が分かる展示で
自宅をショールームにしている部屋の再現などもありました。
もともとはラベルのデザインだけを頼まれていたのが、
香水瓶も手がけるようになったそうで、さまざまな形の香水瓶は集めたくなるほど。
女性向けの灰皿などもあって、
そんなジャンルがあるのだなぁというのが驚きでした。
ガラスをクリーム色に濁らせる加工もあって
人物の肌の一部が肌色で、より立体的に艶めかしく見せているガラスもありました。
『大公開!沖ノ島展の舞台裏』に行ってきました
2月20日、休館日の月曜にぶろぐるぽのブロガーを対象にした
プレミム座談会&内覧会が行われました。
特別展会期中に行われる内覧会は初めてだそう。
正直に申し上げますと、先日行ったばかりだったので、
どうしようかなぁ、辞めとこうかなぁという気持ちだったのです。
でも、難しく思えたものが、ものの見方を教わったら楽しくなるのでは?
と思って「えいやっ」と申し込みをいたしました。
普段は入れない職員用の通用口から入り、集合場所へ。
30人くらいでしょうか。
関係者らしき方もちらほらいる様子。
司会は広報課主事の梶村美月さん。
登壇者は今回の展覧会の学芸主担当の小嶋篤さん。
イラストレーターのCANこと中野完二さん。
展示デザイナーの伏貫政春さん。
皆さんそれぞれの立場から展覧会の見所や裏話をしてくれました。
展覧会に飾ってあった大きな絵の原画がこちら。
まずは小嶋さんが『こんな感じでこんな場面を描いてください』とラフを書いて、
中野さんが下絵を描き、小嶋さんが史実に基づいているかチェックして、
中野さんが仕上げていくそう。
(横から見るとこんな感じ)
裏話を色々聞いたあとは展示室へ。
今日は休館日なので貸し切り状態!
何でも写真を撮っていいと言われて色々撮ったものの
全部は載せられないのでお気に入りのだけでも。
魚形土製品。クッキーみたい。
たてがみをモヒカン刈りのように整えて、
しっぽを短くするのが当時の流行り。
おでこのあたりの毛はちょんまげのように結ってある。馬形埴輪。
伏貫さんは今回の展示を考えるため九博のスタッフと共に
夏に沖ノ島に渡ったそう。
島での木漏れ日や波のゆらめきなどの
経験が展示室の通路部分のユラユラした
波のような光りにも活かされているのだとか。
海を渡った通路の先には沖ノ島。さらに左手に行くとみそぎをする浜辺の写真。
鳥居のオブジェの先には沖ノ島の展示物が並んでいるというストーリーが
この展示には込められていました。
最後の方にある指輪を展示する台を作ったのも伏貫さんだと聞いて驚きました。
見せ方の工夫をたくさんされているようでした。
「埴輪に色はついていたのですか?」と小嶋さんに質問してみると、
ついているものもあれば、元から色がついていないものもあるとのこと。
関東の方の博物館に色付きの埴輪もあることを教えて頂きました。
(もっとピンポイントな県名を答えてくださったのですが自信がないので
大きく関東というくくりで)
裏話を聞いてから展示を見ると、何も知らないで見た時よりは
多くのことに気が付けた気がしました。
展示の意図などを聞く貴重な機会をありがとうございました。
九博のぶろぐるぽに参加しています。
この記事内の写真はすべて九州国立博物館より特別な許可を得て撮影したものです。